IMSAウェザーテック・スポーツカーチャンピオンシップ(WSCC)に参戦している、マツダUSAの公式チームであるマツダ・モータースポーツは、日本時間の7月19日、ドイツのヨースト・レーシングと提携し、「マツダチーム・ヨースト」を設立することを発表しました。

今期の残り3戦をスキップし、2018年のシーズンに向け、新体制で現役のレースマシンであるマツダRT24-Pのテストを開始します。

新パートナーとなる「ヨースト・レーシング」は、1978年にポルシェのファクトリー・ドライバーであったラインホルト・ヨーストが創設した耐久レースチームの名門です。

マツダが日本のメーカーとしては唯一1991年に787Bで総合優勝しているル・マン24時間レースで、通算16回の総合優勝を獲得しているほか、デイトナ24時間やセブリング12時間レースなど、北米の耐久レースでも2桁の勝利を手中にしています。

また、ヨースト・ポルシェといえば、耐久レースのスター・チームとして記憶している方も多いでしょう。その後、1999年からはアウディのファクトリー・チームとして戦っています。

一方、マツダUSAも、デイトナ24時間ではRX-7での参戦時代なども含めて、通算22回のクラス優勝、セブリング12時間では13回のクラス優勝を獲得しています。

IMSAの統計によると、北米のプロスポーツカーレースの歴史の中で3番目に成功したメーカーであり、155勝をメジャーなレースシリーズで獲得しています。今期のマツダ・モータースポーツチームのWSCCでの戦績は、7戦中3戦が終了した時点で総合3位となっています。

このパートナーシップに締結にあたり、マツダUSAの毛籠勝弘社長兼CEOは、「マツダが1964年に初めてレースカーを走らせてから、私たちの“飽くなき挑戦”の精神は、レースに参戦し続け、勝利とチャンピオンシップタイトルを獲得するために力を尽くすと言う意味で使っています」とコメント。

さらに、この提携は「マツダを表彰台の中央に戻すチャンスを与えてくれます。今後、マツダのモータースポーツの成功の歴史に、さらに多くのページを書き込むことになるでしょう」と語っています。

 ヨースト・レーシングを率いるラルフ・ユットナー氏は「私たちは、マツダと新しいチャレンジを始められることを誇りに思っています」「マツダは、モータースポーツに長い伝統を持ち、特に北米でモータースポーツ愛好家を増やすことに貢献しています。そして今回の提携は、アメリカンレースへの復帰だけでなく、いつもあたたかに私たちを応援してくれている日本のファンにとっても、大きなニュースにになると思っています」と語りました。

マツダUSAのモータースポーツ局長であるジョン・ドゥーナン氏は、新しいペアリングを「生涯のチャンス」と認識し、また「マツダ・モータースポーツの歴史にとって、ヨーストと組むということは、トップレベルでこれからのレースに挑めるということが決まった、重要な瞬間だったといえましょう」と続けました。

さらに「ヨースト氏、ラルフ・ユトナー氏、そしてヨースト・レーシングの皆さんは、他の誰も手の届かないような、実績を積み上げてきており、これから彼らと協力し、勝利を優勝や多くのチャンピオンシップトロフィーを手にするために働けることを、心から楽しみにしています。また、マツダとヨースト・レーシングの歴史に、数々の名誉を追加していきたいと願っています」 とコメント。

また、長年協力してレース活動をしてきたスピードソース・レース・エンジニアリング社のオーナー、シルベイン・トレンブレイ氏に対して「パートナーシップに感謝したい」とドーナン氏。

「私たちは20年以上にわたり、モータースポーツのあらゆるレベルで大きな成果を上げました。彼らは、グラスルーツのクラブマンレースに始まり、グランダムカップでの24時間レース勝利を目指す挑戦まで、マツダUSAが提唱するプロトタイププログラムを具現化し、私たちとともに成長してきたチームです。このモータースポーツを通じた私たちの友情は深く揺るぎないものに代わりはありません」と続けました。

チームは、2018年の活動に注力するため、2017年シーズンの残り3戦は欠場とし、来期の参戦マシンでもあるマツダRT24-Pとともにテストを開始することになります。

マツダRT24-Pは、マツダ・デザイナーが協力して制作されたマシンのボディワークも引き続き使用され、約600馬力を発揮するAER製の直列4気筒ガソリンターボエンジンである「MZ-2.0T」も引継がれることになりました。マシンの製造に深く関わったシャシー制作などに携わったカナダのマルチマティック・モータースポーツ社も、シャシーの改良と改善をリード、ヨーストと連携してテストやシミュレーション作業をこなしていく予定となっています。現在の4台のマツダ・プロトタイプのドライバーは、開発テストに参加する予定ながら、2018年のドライバーのラインナップは未定となっています。

このパートナーシップで、IMSAに久しぶりに参加することとなったヨーストレーシングは、ジョージア州アトランタにレースチームの北米の拠点を設立する予定です。

新チームでのレースは、2018年1月26日-27日に開催される「ROLEXデイトナ24時間レース」が初陣となります。どんな走りを見せてくれるのか、楽しみですね。

古川教夫

耐久レースの名門とタッグ!マツダUSAがヨーストと提携し、「マツダチーム・ヨースト」を設立(http://clicccar.com/2017/07/20/493336/)