自分の体は今、どこへ向かってる? トレーニングは自分を知ることから

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女性の体の変化

女性の体はライフステージでいろいろな変化が起きます。小児期から月経が始まる思春期、18〜19歳から44〜45歳ぐらいまでの成熟期、更年期、老年期。成熟期の前半は一般に月経も安定し、妊娠や出産に一番適した時期です。後半は卵巣の機能が少しずつ衰えていき、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が徐々に減っていきます。

そうしたライフステージの中で、今、自分がどんな時期にあるのか、自分にはどんな可能性があるのか、また、自分に今不調があるのかないのか、その不調を解決したいのかしたくないのか、解決するのならどんな方法が望ましいのかえを考えるのは、とても大切なこと。自分の体と向き合う時、それは重要なカギになります。

体は心と連動していて、体の不調は心を引っ張って、精神面を不安定にさせてしまうからです。もし不調があって治療をしているのになかなか治らない、あるいは治療に熱心になれない、などということがあったら、それは精神面で何かのストレスや感情が邪魔しているのかもしれません。その場合は、臨床心理士やカウンセラーに話を聞いてもらうのもいいでしょう。

体の変化に合わせたトレーニング

自分の体がどうなっているかに加え、自分の体がどうなっていくかを知っておくのも必要です。年齢は、誰でも同一に1歳ずつ上がっていきます。それはトレーニングにどう影響するのでしょうか。体力的な衰えが見られる一方で、経験値が上がることから、やるべきことや、やらないほうがいいことが変わってくるのは間違いありません。実際に、あるグラフでは、運動習慣のある女性が、加齢によってその能力が下がっていく線の傾きより、経験によって能力が上がっていく線の傾きのほうが、勢いがあって上回ります。

また、歳を重ねるごとに、肉体的なケアは年齢を重ねるほど必要になります。運動した後の筋肉のマッサージや睡眠などの疲労回復メニューも増やさなければならないでしょう。運動した後に活性酸素が増えるのはよく知られていますが、効酸化物質などの摂取などにも気を配る必要があるかもしれません。こうした体力面での衰えに対して精神面では、積み重ねと経験値で、こういう時には自分はこうなる、とわかっているのが、歳を重ねた時の強みになるでしょう。

そうした長いスパンで自分を見て、自分の今の体はこうで、これから先はこんな風に変化する、とはっきり理解することは、トレーニングする際にも味方になってくれるはずです。体のことは、ともすれば感覚で捉えがちですが、もう一つ深く突っ込んで、データなどでわかることから考えてみるのもいいかもしれません。

 

ライター:三上あずさ
出典:『Training for Woman』Vol.3 「カラダあってのトレーニングだから」
監修:高尾美穂/産婦人科専門医。スポーツドクター。女性のためのクリニック「イーク表参道」副院長