以前、「若狭の海はきれいなんだよ」と福井県出身の友人に聞いたことがあったが、「へえ、そうなんだ」と聞き流していた。
しかし、先日、福井県の若狭湾沿岸をドライブしてみて驚愕した。本州の日本海側に、こんなに海がきれいなところがあったなんて! 美しすぎる海は、見るだけで心が癒やされた。

北陸のハワイ「水島」


今回、一番見たかったのが無人島「水島」だ。敦賀半島の先に浮かぶ小さなこの島は「北陸のハワイ」とも呼ばれている。
長さ約400メートル、幅約10メートルの無人島で、7〜8月の海水浴シーズンには毎年多くの海水浴客でにぎわうそうだ。夏には色ヶ浜と浦底から渡し舟が出て約10分で着くが、それ以外のシーズンは遠くから眺めるしかない。

訪れた日は3月、それにあいにくの雨と風。車の外に出るのもやっとな天気だったが、それでもチラリと見える白浜が南国ムードを感じさせてくれた。


でも、天気がよければこんなふうに見えるらしい。海の透明度もすばらしい。



アジア初「ブルーフラッグ」取得の絶景ビーチ


絶景スポットはほかにもある。高浜町にある若狭和田ビーチもそのひとつだ。


ここは昨年、ビーチの国際環境認証「ブルーフラッグ」を日本およびアジアで初めて取得したところ。ブルーフラッグとは、国際的な環境団体FEEが認定するもので、水質や安全性など33項目の認証基準をすべて満たし、毎年審査に合格しなければならない。日本では2016年4月に若狭和田ビーチと神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜海水浴場が認定された。若狭和田ビーチは環境省によって「快水浴場100選」にも選ばれており、夏は若者でにぎわう人気ビーチだそう。

CNNが選んだ奇勝「蘇洞門(そとも)」


日本海の荒波を感じさせるスポットもある。荒波の浸食でできた奇岩奇勝が約6kmにわたって続く「蘇洞門(そとも)」だ。若狭湾国定公園に位置し、遊覧船でめぐることができる。蘇洞門めぐり遊覧船は約50分。船が通れるくらいの洞門「大門・小門」がハイライトだ。


蘇洞門は、2015年春にアメリカCNNにより「日本の最も美しい場所31選」にも選ばれた。CNNの選定は今年2月に更新され、31選から34選に増えたが、蘇洞門は変わらずラインアップ。ほかには、京都の嵯峨野や鳥取砂丘、山梨の富士芝桜まつりなど、かなりバラエティに富んだスポットが選ばれている。


蘇洞門めぐり遊覧船を運航している若狭フィッシャーマンズワーフによれば、とくにCNNから連絡はなかったそうで、詳細な選定理由などは不明。ただ、海外目線で取り上げられることはあまりないため、光栄に思っているそうだ。ちなみに近年、蘇洞門めぐりを楽しむ外国人観光客は増えているものの、この影響かどうかは不明とのこと。

神々しい名前の半島にある絶景「青の洞窟」


若狭地方はリアス式海岸で半島が多いが、若狭町には常神(つねかみ)半島という神々しい名前の半島がある。半島の先端には常神という名前の集落もあり、半島の先には御神島(おんがみじま)という無人島が浮かんでいる。

常神の港から御神島へ行く途中、ちょうど常神の港から1kmくらい離れたところに、海面が美しい青色に輝く美しい洞窟がある。実はここ、あまりの美しさに一部の人のあいだでは「青の洞窟」と呼ばれている絶景スポットだ。


個人で行くのは難しい場所にあるため、今回は若狭町にある地ビールと梅風呂が名物の宿「湖上館パムコ」の館主である田辺一彦さんにお願いし、田辺さんが企画する自然体験プログラム「あそぼーや」のカヤックツアーで訪れてみることにした。


ところが、出発して少ししたところで雨が降り始めて波も荒くなり、地元の漁師さんからストップがかかり引き返した。残念だが、次の機会を狙いたい。

なお、あそぼーやの通常ツアーには「青の洞窟」は組み込まれていない。お願いしても、条件等で難しいこともあり、必ずしも連れて行ってもらえるわけではないのでご注意を。

ただ、青の洞窟に行けなくても、あそぼーやのカヤックツアーでは無人浜での海遊びなどを満喫できる。きれいな海を楽しみたい人には大いにおすすめだ。


このほかにも若狭湾沿岸には、じゃらんnet「全国のビーチ・海水浴場ランキング」(2016年)で第1位に輝いた「水晶浜」や、海水の浸食作用で洞穴ができた「明鏡洞(めいきょうどう)」など、絶景スポットがたくさんある。



こうした若狭の海の絶景スポットをめぐるなら、レンタカーが便利。東京から若狭地方へは、東海道新幹線と北陸本線を使い、JR敦賀駅まで約3時間だ。美しいビーチは夏に海水浴目的で行くのもいいが、人の少ない海を思う存分写真におさめるなら、ハイシーズン前の今もいいかもしれない。
(古屋江美子)