まだコンディションが整っておらず、本領発揮とはいかなかったイバルボ。とはいえ今後が楽しみなストライカーだ。(C)SOCCER DIGEST

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[J1リーグ5節]FC東京 3-3 鳥栖/4月1日/味スタ
 
 3月15日にサガン鳥栖に電撃加入したコロンビア代表FWのビクトル・イバルボは、イタリアのセリエAやイングランドのプレミアリーグで戦い、2014年ワールドカップ出場歴もありとJリーグでは群を抜く実績を持つストライカーだ。
 
 15年1月からローマ、ワトフォード、アトレティコ・ナシオナル、パナシナイコス、カリアリを渡り歩いて鳴かず飛ばずに終わり、日本に辿り着いたという経緯があるとはいえ、26歳とこれから全盛期を迎える年齢。鳥栖移籍は大きな注目の的となった。
 
 そのイバルボは3月18日のセレッソ大阪戦に続き、4月1日のFC東京戦も先発出場。開始3分には裏への抜け出しで森重真人のファウルを誘ってPKを奪い、豊田陽平の先制ゴールに繋げる。そして試合終了間際には左サイドからのクロスを豊田の頭に合わせ、チョ・ドンゴンの劇的な同点弾の起点に。Jリーグでは初のフル出場ゲームで、2ゴールに絡んだ。
 
 とはいえ、来日から3週間弱で公式戦2試合目とあって、コンディションやコンビネーションはまだまだといった印象。時おり「おっ」と思わせるキープや突破を見せるも、全体的には当たり負けする場面が多く、周囲との意思疎通が合わないシーンも目立った。そもそも動きそのものに鋭さが感じられず、セリエAでも異彩を放ったほどの強靭なフィジカルと爆発的なスピードは鳴りを潜めたままだったのだ。
 
 カリアリ時代に約1年間指導した恩師で、日本に呼び寄せた張本人であるマッシモ・フィッカデンティ監督も試合後の会見で、次のように語っている。
 
「イバルボはまだカリアリで指導した時の50%くらいの状態。90分間を通じてゲームに絡むには、まだまだコンディションが上がっていない。しかし、PKを取ったシーンを含めて5、6回はチャンスを作っていた。だからフル出場させた」
 そのうえで指揮官はイバルボに、「チームの課題を解決しうるクオリティーを持っているから彼を獲得した。これからだ」と期待を寄せる。さらにチームメイトたちの印象も軒並みポジティブだ。
 
「ビクトルが入って自分の守備負担は増しましたけど、実力は間違いない。声をかけたり、ボールを集めたり、気持ち良くプレーさせてあげたい」(鎌田大地)
 
「(公式戦では)初めて一緒にやりました。キープ力があるし、良い選手だと思います。(同じく新加入の)僕もそうですけど、チームのやり方と仲間の癖を覚えれば、これからもっと良くなると思います」(小野裕二)
 
 プロデビュー当時には身体能力と意外性から母国の英雄ファウスティーノ・アスプリージャにも喩えられた才能は間違いない。恩師フィッカデンティ監督の下でカリアリ時代のコンディションを取り戻し、周囲とのコンビネーションにも磨きがかかれば、“鳥栖の黒豹”がJリーグのDFを戦々恐々とさせる大爆発を見せても不思議はない。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
 
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