スマホやタブレット、SIMフリーなど……携帯電話市場の2017年はどうなる?NTTドコモやKDDI、ソフトバンク、UQ、ファーウェイの年頭所感をチェック

2017年はどうなる!?大手携帯電話会社などの年頭所感を紹介

昨年「2016年」は「年末企画」にて各ライターが書いていたように総務省によるタスクフォースによって大手携帯電話会社(以下、キャリア)の販売奨励金がより少なくなり、低価格帯モデル以外の一括0円や実質0円がほぼ姿を消し、SIMフリー市場がさらに拡大しました。

一方で、SIMフリーも格安SIMなどを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)の"キャリア化"も見られたり、デュアルカメラなどを搭載したより高い性能を備えた価格がより高い製品も人気となり、格安SIMや格安スマホ以外の様相も見られるようになってきました。

また3大キャリアは「Galaxy Note 7」の爆発問題も影響し、従来よりもラインナップが減少してきている印象も否めず、それに対して「iPhone 7」シリーズが念願の防水やFeliCaに対応したことでより比重が増し、シェア・人気ともに高くなってきています。

そういった流れを払拭して欲しいところではありますが、まずはauが1月11日に「2017年春モデル」の発表会を予定しているため、ここで注目度の高い製品があればいいなと思われます。

そんな「2017年」に各携帯電話事会社がどのような心づもりでサービスを提供していくのか、まずは各社の新年の挨拶、年頭所感をチェックしてみたいと思い、今回は、NTTドコモおよびKDDIau)、ソフトバンクグループ(SoftBank・Y!mobile)、UQコミュニケーションズ(以下、UQ)、華為技術日本(以下、ファーウェイ・ジャパン)の年頭所感を以下にまとめて紹介します。

※一部整形し直したりしていますが、基本的に原文そのままを掲載しています。これらから各社がどのように事業を進めていくのか……それぞれ妄想しながら2017年のスマホやタブレットに思いを馳せてみてください。

NTTドコモ

年頭にあたって

株式会社NTTドコモ
代表取締役社長
吉澤 和弘

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年の社長就任以降、「更なる価値」をお客さまや世の中へ提供し続けるために、「サービス の創造・進化」「+dの促進」「あらゆる基盤の強化」を3つの柱として、様々な取り組みを 進めてまいりました。

 「dマーケット」等のコンテンツサービスやあんしん系サポート、「dカード」等の金融・ 決済サービス、法人ソリューションにおいて「サービスの創造・進化」を図るとともに、 パートナー企業や各自治体の皆さまのアセットとドコモのネットワーク技術・AI・IoT などのアセットを組み合わせ、新たな価値を協創する「+d」を促進し、「ドローンプロジェ クト」や自動運転バスの実証実験等を通じてまちづくりや農業・林業の品質・生産性向上、 社会的課題の解決に取り組んでまいりました。

 「あらゆる基盤の強化」として、ネットワークでは国内最速受信時最大375Mbpsを 開始する等、エリアの「広さ」「速さ」「快適さ」をこれまで以上に実感いただけるよう ネットワークの高度化に取り組み、料金ではお客さまのご利用状況等に合わせた「シェアパッ ク5」や「ウルトラパック」、「子育て応援プログラム」等の充実により、お客さま還元の 強化に努めてまいりました。

 昨年は、熊本地震をはじめ自然災害が多い年でありました。被災された皆さまに心より お見舞い申し上げます。ドコモは、中ゾーン基地局による市町村役場の通信確保や各避難所へ のマルチチャージャーや無料Wi-Fiの支援など、全力で復旧・支援活動に取り組みました。

 今年は、新たな成長に向け「次なるドコモ」を築く非常に重要な年であり、2020年、 さらにその先を見据え、「Beyond2020」をコンセプトに掲げた「新たな中期目標」 を検討しております。3つの柱である「サービスの創造・進化」「+dの促進」「あらゆる 基盤の強化」をさらに磨き上げ、お客さまや世の中へ「新しい価値」と「新しい感動」を提供 し続ける会社に変えていきたいと考えております。

 特に今年は「5G時代」の到来を見据え、5Gの先進的なサービスやIoT・AI等の 取り組みをさらに加速させていきます。

 今春に予定している「5Gトライアルサイト」での、お台場や東京スカイツリーを中心と したエリアにおけるARやVRなどのコンテンツ配信やスタジアムソリューションの提供等を 実現することで、2020年に向けた5Gの先進的なサービスをいち早くお客さまに体験いた だきたいと考えております。

 また、IoTやAI技術のさらなる高度化によってドローンや自動運転をはじめとする 新たな取り組みにも引き続きチャレンジし、お客さまの生活をより豊かで楽しいものにすべく、 様々なパートナー企業の皆さまと幅広く連携して、「サービスの創造・進化」「+dの促進」 に取り組んでまいります。

 「あらゆる基盤の強化」では、引き続き料金サービスの充実に努めるとともに、ネットワー クにおいては受信時最大682Mbpsの開始や、ドローン中継局及び船上基地局等の新たな 防災に対する仕組みも積極的に取り入れ、ネットワークの快適性と信頼性の向上に努めてまい ります。

 ドコモは25周年の記念の年となる本年も、ドコモをご愛顧・ご支援頂いた方々への「感謝」 の気持ちをもってグループ一丸となり、「お客様サービスの向上」と「企業の持続的成長」の 両立に取り組んでまいります。

以上

KDDIau)】

2017年 KDDI年頭挨拶

KDDI株式会社 代表取締役社長 田中孝司

●2017年のテーマ
2017年は“変革”を加速する

●2017年のポイント
【事業面】 「ライフデザイン企業」への変革
【運営面】 「働き方の変革」を進める

●挨拶
明けましておめでとうございます。
2017年の年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。

はじめに、昨年について振り返りますと、2016年は、通信を取り巻くビジネス環境が大きく変化するとともに、業種を超えた大競争時代に向けた流れが顕在化した1年だったのではないでしょうか。

日本の通信業界においては、MVNO市場の拡大に加え、携帯電話各社が従来からの取り組みやビジネスモデルの見直しを迫られた年であったと思います。

競争軸も通信以外の分野を含めた広い領域にシフトし、他業種も含めた大競争時代は始まったといえます。

世界を見ると、米国ではAT&Tがタイム・ワーナー社買収を発表、Verizonも米国ヤフー社の買収を検討する等、通信事業の顧客基盤をベースに、異なる事業領域で成長を図っていく流れが一気に加速しています。

さらに2020年代に向けては、IoTや5Gといった新技術が今後あらゆる産業分野を変えていく胎動を感じます。

KDDIは、昨年、新たな中期計画「ライフデザイン企業への変革」を策定し、au経済圏の拡大、グローバル事業の積極展開、国内通信事業の持続的成長の3つの事業戦略を進めました。

国内おいては、電気、保険のサービス開始、コマースの大幅拡充、トヨタ自動車様と共同でのグローバル通信プラットフォームの構築、ドローン事業の業務提携等の新たな、そして多様な取り組みを進めました。

グローバルにおいても、モンゴル・モビコム社の連結化、英国におけるデータセンター「TELEHOUSE LONDON Docklands North Two」の全面開業等がありました。

その一方で、コアの通信事業は厳しい競争環境にあり、世の中やお客さまの変化のスピードも一層増していることを強く感じています。

2017年、KDDIは“変革”を加速する1年にしていきます。

事業面では、3つの事業戦略「au経済圏の拡大・グローバル事業の積極展開・国内通信事業の持続的成長」においてスピードアップを図り、中期計画で目指す「ライフデザイン企業」に向けた変革を加速させていくことを、ここに宣言したいと思います。

今年1年、社員の皆さん一人ひとりに心構えとして実行してほしいのは次の3点です。

1. お客さま体験価値(CX)の向上をすべての基本とする
ライフデザイン企業とは、お客さまが望むものを提供するプレーヤーに変わることであり、すなわち、 “お客さまに選んでいただける存在”になって、新しい価値を提供していくことです。
そのためには、常にお客さまの視点に立ち、社員一人ひとりが、「お客さま第一に考える」ことを徹底してください。

2. 自らが変革を実行する
昨年と同じこと、昨日と同じことをやっているだけでは、成長はできません。
一人ひとりが、現状を変えていく!という強い思いを持ち、周りを巻き込んでいってください。
これからは様々な連携やシナジーを求められる局面が間違いなく増えてきます。
部分最適の考え方から脱却し、スピードアップを図ってください

3. 高い目標を設定してチャレンジする
人は8割の成功ばかり追求しても、変革はできずに成長もできません。
チャレンジしないと会社も個人も新たな経験は得られません。
高い目標を設定してチャレンジすることを忘れないでください。

次に運営面では、「働き方の変革」を進めていきます。

KDDIにおける競争力の源泉は、人材です。一人ひとりの社員が最大限の力を発揮するためにも、心身の健康は必要不可欠です。

この大変革期、大競争時代においては、働き方の変革が必須であり、会社としても、長時間労働の撲滅を断行し、社内風土改革に取り組んでいきます。

併せて、一人ひとりが生産性や業務プロセスの改善に努め、自らの時間を創出し個人個人の成長を図っていくことも必要です。

2017年、「ライフデザイン企業への変革」に向けて、会社も個人も変革を加速させていきましょう。

以上、私からの新年の挨拶とさせていただきます。

【ソフトバンクグループ】

年頭所感

ソフトバンクグループ
代表 孫正義

あけましておめでとうございます。

昨年はソフトバンクグループにとって新たに大きな一歩を踏み出した年でした。それは長年の悲願でもあ り、シンギュラリティーを迎える世界へ向けて重要な一手でもある英国の ARM の買収です。ARM はす でにスマートフォン市場などで圧倒的ナンバーワンのシェアを誇ります。また、次世代ニーズに対応でき るさまざまな付加価値を持つ ARM アーキテクチャーを搭載したチップは、今後、ありとあらゆる産業や 生活において活用されるデバイスなどに採用されていくことでしょう。電子機器のコア技術を担う ARM は、ソフトバンクグループの事業戦略において今後さらに重要度を増し、グループの中核的な存在になっ ていきます。

IoT の本格的な到来により、インターネットにつながる多種多様なデバイスは今後爆発的に増え続け、そ こから生まれるビッグデータも加速度的に増え続けていきます。また、シンギュラリティーを迎えれば、 ビッグデータなどの分析により人間の知性では思いもつかなかったアイデアや知恵が生み出され、いずれ 人類に貢献する「超知性」も誕生することになることでしょう。この流れは世界的かつ不可逆的なもので、 パラダイムシフトは近年加速しています。

すでにソフトバンクグループには、このパラダイムシフトに向けて重要な役割を担う事業会社がたくさん あります。国内通信事業を担うソフトバンクと米国通信事業者であるスプリントは、最先端のテクノロジ ーが投入される日米市場において快適な通信サービスを提供できる、高品質かつ強固なネットワークを構 築しており、今後もグループ事業の柱となっていきます。さらに昨年 12 月に出資を発表した OneWeb が、 全世界にブロードバンドを提供できる衛星コンステレーションを構築し、これと組み合わせれば、世界で も類を見ないグローバルブロードバンドネットワークが誕生します。これらのインフラをベースに、IoT ビジネスも急速に発展していくことでしょう。また、アリババグループをはじめとしたアジア各国で展開 する E コマース事業、Pepper に代表されるスマートロボット事業、インドの Ola や東南アジアで展開す る Grab などのライドシェア事業、米国の SoFi が展開するフィンテック事業など、最新のテクノロジーを 活用した革新的なビジネスを世界中で幅広く展開しています。これらのグループ会社は、いずれ IoT のエ コシステムの中で有機的に結びつき、さらに新しいビジネスモデルを生み出し、進化する大きな可能性を 秘めています。また、従来のベンチャーファンドと比較して過去最大級となる「ソフトバンク・ビジョン・ ファンド」の設立を予定しており、ここから有望なテクノロジー企業への投資を進めることで、出資先企 業の発展を通じて社会へ貢献し、情報革命を加速させていきます。

フトバンクグループの一番の強みは、「情報革命で人々を幸せに」という当社の経営理念を心から信じ、 共有している素晴らしい経営者がグループ各社にいることです。われわれは、最新のテクノロジーと革新 的なビジネスモデルで情報革命を牽引し、世界中の人々から必要とされる企業グループであり続けるため、 果敢に挑戦し、自らも進化を続けていきます。

今年もソフトバンクグループをよろしくお願いいたします。

【UQ】

年頭所感

UQコミュニケーションズ株式会社
代表取締役社長 野坂 章雄

新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。

昨年を振り返ると、スマートフォン市場の環境がMVNOの躍進により、大きく変動した1年だったと思います。

そうした中、弊社は、携帯大手3社とも、一般のMVNOとも違う、第3極を目指し、安心、快適、高品質なスマートフォンサービスを、低廉な料金でお客様にお届けするため、UQ mobileの一層の魅力化に努めてまいりました。

また、昨年10月より、「UQモバイル、だぞっ」をメッセージとした新しいCMを全国で展開し、おかげさまでCM総合研究所が実施する「CM好感度調査」において、高評価をいただくなど、UQ mobileのブランド認知が拡大しつつあります。

一方、WiMAX 2+サービスにおいては、昨年12月より、下り最大440Mbpsの超高速サービスの提供を開始し、新ルーターWX03は大変ご好評をいただいております。

2017年は、UQがWiMAXで培ってきたモバイルデータ通信のノウハウを活かし、お客様の利便性と満足度のさらなる向上を実現することにより、UQ mobileおよびWiMAX 2+サービスの一層の普及に努めてまいります。

本年も、「つなぐで、感動を」の言葉を胸に、これからもお客様に寄り添い、お客様の多様なニーズにお応えするため、全社一丸となって取り組んでまいります。

本年も引き続き、一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

以上

【ファーウェイ・ジャパン】

華為技術日本株式会社
代表取締役社長 王 剣峰

年頭のごあいさつ
ともに開拓する5Gへの道

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

今年の干支は酉(鶏)です。鶏は人に時を報せる動物ですが、商売を「とりこむ」縁起のよい干支ともされています。この場を借りて、皆様のご多幸、ならびに事業のますますのご発展をお祈り申し上げます。

2017年の幕が開け、東京オリンピック・パラリンピックの開催まであと3年となりました。世界中から観戦に訪れる方々に第 5 世代(5G)ネットワークを体験していただけるよう、ファーウェイは日本の通信事業者の皆様と密接な協業を進めています。

昨年はそうした取り組みがより大きく前進し、ソフトバンクおよびWireless City Planning(WCP)が世界で初めてMassive MIMO商用サービスを開始するにあたって通信インフラを提供※1したほか、NTTドコモと共同で4.5 GHz帯域を使用した世界初の5G大規模フィールドトライアルを横浜市で実施 しました※2。同時に、ボーダフォン、チャイナ・モバイル(中国移動)、ドイツ・テレコムといった世界各国の通信事業者や、3GPP、5GPPPなどの標準化団体とも5Gの実現に向けた歩みを進め、その成果を日本市場で活かしてきました。また、11月にはこれまで各国で開催してきた『グローバル・モバイル・ブロードバンド・フォーラム※3』を日本で初めて開催し、通信事業者、垂直産業、標準化団体などから1,500名以上の皆様をお招きして、5Gをはじめとする新技術の研究開発の成果やパートナー企業との協業を披露しました。

振り返ってみると、2008年にスマートフォン・アプリが誕生したとき、その数はわずか500ほどに過ぎませんでした。それから8年後の現在、iOSとアンドロイドのアプリは700万以上に増加し、さまざまなサービスがアプリを介してモバイルで提供されています。今後は動画サービス、家庭向け、垂直産業向けを中心としてさらに多くのモバイル・アプリケーションが登場し、市場は拡大を続けるでしょう。

こうした成長のチャンスを前に、通信事業者は2020年までに5Gの商用化を実現することを目指しています。2018年の標準化完了を経て、5G産業が急速に発展していくにあたり、通信事業者には迅速なスタートダッシュが求められています。それを成功させるためには、アプリケーション中心のネットワーク構築とオープンなエコシステムの確立が不可欠です。

モバイル・ブロードバンド・フォーラムでファーウェイは、新たな研究プラットフォーム『Xラボ※4』を発表しました。『Xラボ』は、通信事業者、技術プロバイダー、垂直産業パートナーとともにモバイル・アプリケーションの活用を探求し、オープンな産業エコシステムの構築を進めることで、5Gがもたらす未曾有の商機を最大限に活かすための取り組みです。

通信業界における今後のビジネスの成功は「インフラ×オペレーション×エコシステム」という方程式で導かれます。5Gへの移行に向けて「ネットワーク中心から、アプリケーション中心へ」「ヒト中心から、モノ中心へ」という2つの大きなパラダイム・シフトが必要とされる中、私たちはその変革の時が来るのを待たずに、自ら変革を起こすことを迫られています。通信事業者は、5G時代の到来を加速するための基盤の構築にすぐにでも着手しなければならないのです。

通信事業者が5Gに向けてオペレーションを変革する際、ひとつの足がかりとなるのがIoTです。とりわけ、2016年6月に3GPPによる標準化が完了し、今年から本格的な商用化が期待されるNarrow Band IoT(NB-IoT)は、LPWA(省電力広域ネットワーク)技術として、IoTのさまざまなアプリケーションをサポートするうえで独自の優位性を有しています。通信事業者はNB-IoTベースのサービスを展開することで、モノの大量接続や多岐にわたるアプリケーション・シナリオに対応できるオペレーション・システムを構築し、5Gの運用に備えることができるでしょう。

いまだ誰も踏み入ったことのない5Gへの道には、数々のチャレンジと発見が待ち受けています。お客様やパートナー、ICT産業プレーヤーの皆様とともにこの新たな道を開拓し、イノベーションを生み出すことで、より“つながった”世界を実現する――2017年は、そんな志を共有する仲間をたくさん「とりこむ」年になるよう願っています。


記事執筆:S-MAX編集部


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