日本で駅どうしの距離がもっとも長い区間は、新幹線では74.8km、在来線では36.3kmもあります。なぜこれほども長い駅間が誕生したのでしょうか。

在来線時代から「日本一長い駅間距離」

 2016年3月、北海道新幹線(新青森〜新函館北斗)が開業しました。この区間には全長53.85kmの青函トンネルが含まれていますが、あわせて「日本一長い隣接駅間距離」も存在しています。

 それは奥津軽いまべつ駅(青森県今別町)と、木古内駅(北海道木古内町)とのあいだ74.8kmです。

「日本一長い駅間距離」を含む区間を走り抜ける北海道新幹線(写真出典:photolibrary)。

 この区間は、新幹線開業前の津軽海峡線(在来線)時代には竜飛海底駅(青森県外ヶ浜町)や吉岡海底駅(北海道福島町)、知内駅(同、知内町)がありましたが、利用者の減少や新幹線工事にともない2014年3月に駅を廃止。このとき、当時の津軽今別駅(現在の奥津軽いまべつ駅に相当)と木古内駅のあいだ74.8kmが「日本一長い駅間距離」になりました。現在、北海道新幹線は奥津軽いまべつ〜木古内間を38分ほどで走り抜けています。

在来線の「駅間最長」が生まれた経緯は

 北海道新幹線が開業した2016年3月、もうひとつの「日本一長い駅間距離」にも動きが。新幹線を除くJR在来線です。それまで最長だった石勝線の新夕張〜占冠(しむかっぷ)間34.3kmに代わり、新たに石北本線の上川〜白滝間36.3kmが日本一になりました。

 トップに躍り出た理由は、上川〜白滝間にあった上白滝駅(北海道遠軽町)が廃止されたため。もともと同区間には5駅が存在していましたが、利用者の減少などから相次いで廃止されていき、それにともない駅間距離が徐々にのびていったというわけです。現在、上川〜白滝間の所要時間は、最短でも38分(上り特快「きたみ」)を要します。なお、新夕張〜占冠間にも2004(平成16)年までは楓駅が置かれていました。

 ちなみに日本最長の“通過”区間をもつ定期旅客列車は、下り東京発高松・出雲市行きの寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。その区間は浜松〜姫路間387.2kmで、時間は4時間13分です。

 ただしこの列車は、浜松〜姫路間を休みなくずっと走り続けているわけではなく、途中の駅で、利用者は乗り降りできませんが乗務員の交代などの目的で停車する「運転停車」をしています。

【写真】「サンライズ」だけにあるノビノビ座席

「サンライズ瀬戸・出雲」には寝台料金なしで横になれる「ノビノビ座席」がある(2007年6月、恵 知仁撮影)。