巨人に入る「台湾の巨人」、201cm右腕リャオ・レンレイの潜在能力
日本シリーズも終わり、プロ野球も本格的なストーブリーグに入っていく。ストーブリーグとは、試合のない冬の間、ストーブを囲みながら、ご贔屓のチームのトレードや新人選手についてファンが侃々諤々(かんかんがくがく)と議論をし、来るシーズンに思いを馳せることで名付けられたものだ。
しかし近年は、その期間中、各国で開催されているウインターリーグに参加する選手が増え、彼らはオフの間も野球に励んでいる。台湾では11月末から約1カ月間「アジアウインターリーグ」が開催され、日本プロ野球はセ・パそれぞれの若手有望株を送り込む予定だ。昨年、このリーグで修行を積んだ高橋周平(中日)、陽川尚将、岩貞祐太(ともに阪神)らが、今シーズン見事に成績アップを果たした。
昨年は、台湾、日本、韓国とそれぞれのプロリーグの若手主体のチームに、ヨーロッパ選抜、それに台湾の大学生主体のナショナルチームの計5チームが参加。そしてプレーオフを制し優勝したのは、なんとアマチュアの台湾ナショナルチームだった。
日本でも上映された野球映画『KANO』の主人公を演じた曹佑寧(ツァオ・ユーニン)もメンバーに名を連ねていたとあって、無名の若手主体のプロチームをしのぐ人気を誇っていたが、実力の方も台湾リーグのドラフト候補が多数いたことで、各国のプロ選抜にひけをとることはなかった。
ただ、ナショナルチームの選手たちは、プロの集団と比べるとどうしても体の線が細く、プロとアマチュアの差を感じさせた。そのなかで唯一、プロ顔負けの体躯を誇っていたのが、今年のドラフトで巨人から7位指名を受けた廖任磊(リャオ・レンレイ)だった。
報道によると身長201センチ、体重125キロということだが、実際グラウンドでの彼の大きさは突出しており、マウンドに立てば、プロの打者であっても圧倒するような迫力があった。
今回のドラフト指名に驚いた人も多かったはずだが、リャオは岡山共生高を卒業している、いわゆる"野球留学生"だ。現行のドラフトのルールでは、日本の中学校、高校、大学で3年以上教育を受けた外国籍の選手は日本人扱いとなり、ドラフトを経て日本の球団と契約することになっている。
かつて台湾からは、林威助(リン・ウェイツウ/元阪神)や陽岱鋼(ヨウ・ダイカン/日本ハム)らが、このルールで日本プロ野球界に入った。
2012年3月に高校を卒業したリャオは、故郷の台湾に戻り、開南大学に進学。在学中の2014年にピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約を結んで、アメリカに渡った。その後、2シーズンをルーキー級のガルフコーストリーグで過ごしたが、この間の通算成績は27試合(35イニング2/3)に登板し、2勝3敗、防御率4.54だった。奪三振は25を記録したが、四死球30とコントロールに難があった。
結局、昨シーズン終了後、台湾に戻り、再び大学生となった。そして昨年の11月、「アジアウインターリーグ」の台湾ナショナルチームのメンバーに選ばれた。
今回、巨人から指名を受けたのは、このウインターリーグでの好投が大きく影響しているのだろう。リャオはおもにクローザーとして10試合に登板し、4セーブ、防御率1.50という好成績を残した。
ナショナルチームは日本と、プレーオフも含めると計5回対戦し、結果はナショナルチームの3勝2敗。リャオはこのうち4試合に登板し、失点したのは1試合のみ。日本のプロ相手でも十分に通用するところを見せつけた。
特に、初めての対戦となった12月1日の試合はネット裏で見ていたのだが、2点リードの9回にリャオがマウンドに上がり投球練習を始めると、球場の空気が一変したのを鮮明に覚えている。
おそらく、リャオの存在は台湾でもそれほど知られていなかったのだろう。それでも長身から投げ下ろす150キロ超えのストレートと高い軌道から大きく曲がるカーブは、日本の若手プロの選手を寄せ付けなかった。
その日のスタンドは閑散としていたが、まさかのアマチュアチームの勝利に、地元ファンは歓喜の声を上げていた。だが、この勝利が奇跡ではなかったことを、台湾の人々はのちに知ることになる。
ナショナルチームは2度目の対戦でも日本を下し、このときもリャオは日本を抑え込んだ。その後、ナショナルチームは日本に連敗してリーグ戦を2位で通過(日本は1位で通過)となったが、トーナメント制のプレーオフで勝ち上がり決勝進出。そこでまたしても日本を破り、ついにチャンピオンにまで上り詰めた。最後にマウンドに立っていたのは、もちろんリャオだった。
現地の関係者の話によると、リャオは今年も開南大学でプレーしていたという。台湾のドラフトで指名されなかったところをみると、台湾のプロ野球にはあえて入団せず、国外のプロリーグとの契約のチャンスを待っていたようだ。
はたしてリャオは、台湾発の"ジャパニーズドリーム"を叶えることができるのか。ドラフト史上「最高身長」「最高体重」の新人右腕に注目だ。
阿佐智●文 text by Asa Satoshi

