カインとアベル | オフィシャルページ - フジテレビより

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 第3話の視聴率が6.9%(ビデオリサーチ調べ関東地区)と、月9史上2番目に低い数字を叩き出してしまった、山田涼介主演の「カインとアベル」。ようやく話が動き出してきたので、ここからの巻き返しに期待したいところです。

 11月7日放送の第4話は、事業の不調で精神的に追い詰められた高田隆一(桐谷健太)が失踪したシーンから始まります。担当していたバンコクの事業がうまくいかず、急きょ100億円が必要になったのです。このことは、会社にも父である社長の貴行(高嶋政信)にも一切報告していません。高田家の人間は、「人に頼らず、困難は自分で解決しろ」と教育されているそうですが、100億円はそういう問題じゃないでしょ。ただ単に怒られるのが怖いから、もしくは失敗したことを知られたくないから失踪したようにしか見えないんだよなあ。

 隆一の失踪を知り、そういえば前日から様子がおかしかったと気付く高田優(山田涼介)と矢作梓(倉科カナ)。2人で葉山の別荘に探しに出かけますが、梓は彼の上着のポケットに結婚指輪が入っているのを偶然見つけ、「今会っちゃいけない」と意味不明な理屈で捜索をやめ、2人はそのまま帰ります。その後もちらちらと隆一が別荘にいるシーンが挿入されますが、電話を掛けたり出かけたりして資金繰りに奔走している様子は一切なし。やっぱり逃避してただけなんじゃない?

■この会社、大丈夫?

 結局100億円は、社長である貴行(高嶋政伸)の姉、桃子(南果歩)の婚約者である自称投資家の黒沢幸助(竹中直人)が用立ててくれることになり、隆一は危機を回避。何事もなかったかのように会社に戻ります。その頃には100億円の資金不足も会社と社長にバレていましたが、「100億円は私が調達し、軌道修正できました。もはや何の問題もありません」と力強く宣言。「さすが副社長だ」と沸きかえる役員たち。こいつらアホか。どう考えても、もう事業として危ないでしょ。

 どうもこの会社、海外にも手広く事業を展開しているデベロッパーという設定の割りに、社長も役員も同族経営の中小企業みたいなノリなんですよね。こんな体制でうまくいっているんならそのほうがすごいんですが。

 自称投資家の黒沢も黒沢で、初対面でいきなり「100億円用立ててくれませんか」と切り出した優を「大したタマだなお前。初対面の男に100億円だなんて」とあっさり受け入れる謎の懐の広さ。どこに気に入る要素があったんでしょうか。言うだけで気に入ってくれるんならナンボでも言いたいです。100億円ください。

 このあたりは登場人物の行動がみんなおかしくなっています。直前のシーンで、この問題は隆一が1人で解決できなければ、二度と立ち直れないかもしれない、だからもう少しだけ手出しせず様子を見よう、と語っていた梓は、優が黒沢から100億円の融資を引き出したのを見てニコニコ顔。まあ、やっぱり100億円あったほうがいいですもんね。

 優が黒沢に融資を迫る際のセリフも変でした。100億円を用意できれば投資家だという証明になるが、用意できなければ永遠に詐欺師と疑われても仕方がないと。いや、その理屈はおかしい……。その理屈をおかしいと言わない黒沢もおかしい……。

 さて、100億円問題を解決した隆一は、梓に結婚指輪を渡してプロポーズ。何はともあれ丸く収まったかと思いきや、テンションが上がったせいか「オレは一人でやってのけた」「奇跡を呼び起こしたんだ」「やっぱりオレは選ばれた人間なんだ」と勘違い発言を連発。

 「そんなに大変なことなら言って欲しかったな」とつぶやく梓に、「君に相談したら何か変わったか?オレは誰かに助けてもらう人間じゃなくて、誰かを助ける人間なんだ」と、もはや神様気分。こらえきれずに、梓は本当のことを告げてしまいます。黒沢から融資を引き出したのは優だと。黙って梓の部屋を飛び出し、家に帰っていきなり優を殴りつける隆一。屈折してますねえ。またまた話が大きく動いてきました。次回も楽しくツッコミながら視聴します。

文・中島千代