多治見、9回裏一挙5点 逆転サヨナラ勝ちで東海大会進出決める

多治見・河地君

 台風の影響で、終盤の日程が何度か変更された岐阜県大会。結局、一週間ずれ込んで会場も長良川球場ではなく大野レインボースタジアムで準決勝が行われた。

 この秋、岐阜県大会は岐阜市内と大垣市内の学校が1校もいない形のベスト4になった。これも非常に珍しいことである。中濃飛騨地区と東濃地区がそれぞれ2校残った。下呂市にある益田清風は中濃飛騨地区の9番目として県大会に出場してきた学校だった。それが県大会では武義に大勝すると、岐阜商対決を制した市岐阜商を下す殊勲。さらに大垣日大を下した夏の代表校中京を準々決勝で下してのベスト4進出である。まさに快進撃が続いていると言っていいであろう。

 一方多治見は、東濃地区の1位校でもあり、シード校として安定した戦いぶりでの4強進出である。どちらも、地域で支えられている公立校でもある。

 試合は益田清風が左腕の今井亮介君、多治見は右サイドスロー気味の河地君という両エースナンバーの先発で始まった。河地君の立ち上がりを攻めた益田清風は、1番二村 翔真君から3連打したものの、けん制死などもあって結局、得点にならず。さらに、5回も二死一二塁で2番島田君が中前打したものの、二塁走者が三塁に留まってしまい、三塁を狙った一塁走者が挟まれ三塁ベース上でタッチアウトとなり、得点機を逸した。走者菅野コンビ―ネーションが合わなかったというか、前走者との呼吸がよくなかった。結果としては0対0。多治見は何とか河地君が踏ん張った形になった。

 益田清風の今井亮介君は左腕からの大きなカーブが有効で5回まで1四球のみで多治見打線を無安打に抑えていた。こうして、お互いが0のままだが、いくらか益田清風が押し気味で後半に突入した。

 そして迎えた6回、益田清風はこの回先頭の3番日下部君が内野安打で出ると、バントで進み、四球で一二塁となった後、桂川君が中越二塁打を放つ。これで、2者が追いかけっこのように重なって生還した。

 益田清風は7回にも二死走者なしから1番二村君が中前打で出ると、続く島田君が死球で一二塁となり、日下部君の一打は右翼スタンドに飛び込む3ランとなった。これで、益田清風は大きくリードした。反撃したい多治見は7回に先頭の2番熊崎君が初安打を放つと、四球と振り逃げがツーベースになる幸運もあって1点を返した。この場面で、益田清風の細江順監督は迷うことなく、今井君を下げて兼山君を送り出した。兼山君は代わり端こそストレートの四球で満塁としてしまったものの、次を三振で切って取り何とか凌いだ。

 とはいえ、左投手を打ちあぐねていた多治見打線にとって、右投手の登場はラッキーとも言えよう。それが9回に形になって表れた。

益田清風・鈴木太郎君

 4点差を追いかける多治見は9回、先頭の加藤 将輝君が左前打で出る。この回の始まる前、多治見の高木 裕一監督は、「2年前に石川県で星稜が大逆転した試合があっただろう。それ、やってみるか」ということを選手に語り掛けたという。そして、そのためには、まずは笑顔で行こうということを言っていたという。加藤君がまず、その糸口を作ったのだった。これでベンチがその気になってきた。連続暴投で三塁へ進むと、佐藤 昂気君の内野安打で帰す。これで3点差となったが、ここで益田清風の細江監督は急遽、左腕の今村君をライトからマウンドに呼んだ。しかし、もう一つ制球がまとまらず連続四球で満塁として、さらに三戸君に死球で押し出し。代打小池君は右犠飛で1点差となる。あと一人で試合終了という場面だが、9番小西君も四球で再び満塁となると、益田清風は4人目の右投げ、鈴木 太郎君が登板。2ストライクに追い込まれながらも、山田君は3球目を叩いてこれが左翼線に落ちて2者が帰った。こうして、多治見は逆転サヨナラで決勝進出を決めるとともに初の東海大会出場を果たした。

 高木監督はこの場面を振り返る。「山田には、スクイズもあるぞということを言ったのですが、それだと同点止まりだから打ちますというので、それならばきちんと逆方向へ打てる打撃をしろと言ったのですが、その通りに運んでいってくれました」と、左打者の山田君の左翼線への好打を評価した。

 外部指導者として、ひょんなことから監督を引き受けて19年目となった高木監督。自身が東海大相模で学んできた質の高い野球を伝えてきたが、ついに実を結んだ今大会だった。「あまり大きな目標を掲げると、無理がありますが、一つひとつ目の前の目標をクリアしていって、東海大会出場が出来ましたから…。次はもう一つ上の目標です」と、謙虚な姿勢だったが、東濃地区1位の自信で、岐阜県大会初優勝に挑む。

 益田清風としては、結果としては、いささか早すぎた感のあった今井君の降板が悔やまれる。9回表まで、試合の主導権を握っていただけに、改めて勝ち上がる難しさを実感したのではないだろうか。

 (文=手束 仁)

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