「季節性うつ」をご存知でしょうか?

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執筆:松本 たお(正看護師・新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者)

特別なストレスや原因が思い当たらないのに、決まった季節になるとうつ症状が現れることがあります。

これを季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)と言い、「季節性うつ」と呼ばれることも。

季節によってうつ症状が出現するのは何故なのでしょうか。季節性うつについてまとめてみました。

季節性うつとはどういう病気?

季節性うつの多くは10月頃から3月頃にかけて抑うつ症状が出現するため、「冬季うつ病」と呼ばれています。

症状は、甘いものや炭水化物を過剰に摂取してしまう「過食」と、いくら眠っても熟眠感が得られずに眠りすぎてしまう「過眠」が特徴的です。その他にも、倦怠感や気力の低下などの抑うつ症状が現れ、日常生活に支障を来してしまうケースもあります。

季節性うつの原因は?

季節性うつの周期性を見ると、日照時間が短くなる時期から次第に症状が悪化しはじめ、春を迎える頃に落ち着いてきます。

このため、日光との関係が大きな原因と考えられています。
人は日光を浴びると、体の中で「セロトニン」という物質が作られます。セロトニンは、「サーカディアンリズム」という、体内の様々なリズムを調節するホルモンの原料なのです。


1日の中の睡眠と覚醒のリズム、1年の中の季節のリズム、そしてホルモンを分泌するリズムなど、体のあらゆるサイクルを整えるのに重要な働きをしています。


浴びる日光が不足することによって、これらのリズムが乱れ抑うつ傾向になるのです。実際に、冬場に抑うつ傾向・過食・過眠の傾向になりやすいのは、冬季うつ病患者に限らず全ての人に当てはまると言われています。

季節性うつの治療法


日光が足りないのなら、光を浴びれば良い。


季節性うつの治療法は、そんなシンプルな発想から生まれました。「光療法」と言って、特別な機械で光を浴びる方法です。これはとても効果を上げており、冬季うつ病患者の7割に何らかの変化が現れています。早い人では2〜3日で症状が改善したというデータもある程です。

光療法で改善しない場合に、抗不安薬や抗うつ薬、光に対する感受性を高める目的でビタミン剤を投与します。

季節性うつの予防法

人間は植物と同じように、ある程度の光を浴びなければ健康に生きられない生き物と言われています。昼夜のリズムが崩れていたり、日中室内に閉じこもったりといった生活を続けていると、心身に影響するのです。

1番効果があるのは朝の日光。午前中に日光を浴びることが出来るような生活リズムを心がけましょう。室内にいることが多い環境でも、電気を付けたりカーテンを開けたりすることで、なるべく室内を明るくするよう努めてください。

また、運動や食生活などもうつ病に影響すると言われています。健康的な生活で季節性うつを予防していきましょう!

<執筆者プロフィール>
松本 たお(まつもと・たお)
正看護師・新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者
精神科・産婦人科・助産院での臨床経験を持つ正看護師。現在は育児に奮闘中の二児の母。