オリエンタルラジオ×青山裕企「DOUSEI」は同性愛者への配慮に欠けているのか点検してみた

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“オリエンタルラジオ「究極の変態写真集」”という見出しが同性愛者たちに対して配慮に欠けると大炎上したことが記憶に新しい」「オリエンタルラジオ×青山裕企 写真集 DOUSEI ─ドウセイ─。


オリラジのデビュー11周年を記念して、中田敦彦が企画した写真集は「オリラジのふたりが一緒に暮らしていたら・・・」をコンセプトにして作られました。

発売前の記事でへんな方向に盛り上がってしまったところ、撮影した青山裕企がすかさず、「究極の変態=同性同士の同棲
という意味ではなく、端的に言えば、青山=変態的な視点という意味」と弁解tweetしていました。

では、どんなふうに変態的な視点でオリラジを撮ったのか見てみようじゃないかと、「オリエンタルラジオ×青山裕企 写真集 DOUSEI ─ドウセイ─」を買ってみました。はい、まんまとSNSの炎上商法に釣られております。

「青山さんは、信頼と実績の大変態」と中田敦彦が帯で大絶賛する写真家・青山裕企。確かに、彼の女子高生の写真は職人の凄みがあります。「スクールガール・コンプレックス」「絶対領域」「パイスラッシュ」など女の子(主に制服を着た女子高生)のそこに目をつけるか! と目からウロコの、圧倒的にマニアックで鋭い視点を、ふわっとした仕上がりで撮影し続けて人気を誇っているのです。

たとえば、7月に発売された「かわいいスカートのめくりかた」は「分け入っても分け入っても青い山」ならぬ「めくってもめくってもスカートめくり」。全ページ、無数の制服姿の女の子たちがスカートをめくったり、めくられたり、めくりあったりしています。
顔もよく見えない、といってパンツも見せない匿名性の高い女の子たちが、ただただ太ももをさらけ出しすだけ。でもその柔らかく光に溶ける太ももの輪郭の数々になぜか見入ってしまうのです。

無邪気にスカートをめくり合う女の子たちのなかに、ときどき面白いのか危ういのか判断つきかねるシーンがはさまってきて、それは確かに中田の言うとおり変態ぽい気が。この場合の変態とは、写真家の被写体に対する度を超した探究心の可笑しさです。

では、男同士、それも少年とはいえない30代男の写真集ではどんな探究心を見せてくれるのか? と興味津々でめくってみました。
やられた。ここにはまさにオリラジの「絶対領域」がありました。
いまさら説明するまでもないと思いますが「絶対領域」とは、スカートやショートパンツとニーハイソックスにはさまれた唯一の素肌・・・生太ももの部分を差す言葉です。

中田敦彦と藤森慎悟の同棲生活、はじまりは朝ご飯。そこから、DAY.1〜DAY.7の7章に分かれて、女子が憧れる男性同士の生活シチュエーションがあれこれもと登場します。

ご飯は「あーん」。パジャマ。お着替え。ワイシャツ。ネクタイ締め。スーツでバリッと。
一緒にゲーム。添い寝。歯磨き。お掃除。取っ組み合い。
なにげに触れる瞬間触れそうで触れない瞬間。
シャワー。壁ドン、そしてあんなことまで! ・・・やっぱりめくってもめくっても同性の同棲。
男子アイドル、イケメン俳優の写真集あるあるなシチュエーションと、異性でも同性でも仲良し同士が行いそうなことを徹底的に網羅。
耳の後ろ、うなじ、手の甲の筋、指、腹・・・などのパーツも満載。
背景や小道具や構図、照明の感じまで、みごとにそれっぽいです。

でもです。中田敦彦も藤森慎吾も30代であり、どんなに人気があるにしても、いわゆるイケメン俳優でもアイドル男子ではありません。
藤森慎吾は、サービス満点で裸体をさらけ出しますが、そのお腹や脇の下の無防備さは、映画「闇金ウシジマくん Part3」(9月22日公開)で、不倫したうえキャバ嬢に入れあげて闇金に手を出す小市民のゲスさをみごとに演じた藤森だけはあると思わせました(この映画の藤森さんの演技はすばらしいです)。

一方、中田敦彦。「I’m a perfect human.」とかっこよく言っている人には見えない、ふつうのおにいちゃん感を漂わせ続けます。カメラ目線のアップはツッコミどころ満載です。

このへんには、一般のサラリーマンに愛情を注ぎ、空跳ぶ「ソラリーマン」に仕立てるという作品も撮っている青山の側面が色濃く出ているのではないでしょうか。

ちょと待ってちょと待って、中田が見込んだ青山の変態性あふれるフェチズム、絶対領域はどこなんですの? と言えば、あーんでもネクタイ締めでも、うなじでも指でも、裸でも、ましても壁ドンでもありません。
中田と藤森が、男同士の夢のような同棲生活を演じるぎこちなさです。
お笑いの現場で、きっちりかっちり全身に力を漲らせて演じ切っているオリラジが、淡い光のなかで柔らかい仕草をすることがやや不慣れに見える瞬間は、スカートとニーハイの間の太ももそのもの。
これ、相当、マニア度、高いですよ。
(木俣冬)