出生不明のインド人が優勝、ムチャムチャが凄い「食戟のソーマ弐ノ皿」10話

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週刊少年ジャンプで連載中の原作・附田祐斗、作画・佐伯俊のコンビによる人気マンガの第2シリーズ「食戟のソーマ弐ノ皿」の第10話が放送された。最終回臭がすごかったが、まだまだ話は続く。


決勝戦、決着!


秋の選抜決勝戦、サンマ対決。ソーマが作った炊き込みご飯は一定の評価を得るも、他の二人に及ぶものではなかった。しかし、審査終了直前「まだ俺のサンマ料理は完成じゃないんですよ」と、ソーマは料理が二段構えである事を伝える。

ソーマが炊き込みご飯に豆乳をベースにした出汁をかけると審査員の評価は一変。他の二人と互角の品である事が認められた。

父・城一郎いわく「創真はあっけらかんと自分の弱い部分に向き合うことが出来る」。これは“才能があるやつに負けるのはしょうがない”という思考回路が一切ない創真の凄いところであり、ある意味欠落した部分を表す言葉だ。

その欠落故に、料理を突き詰める事が出来る。突出した才能はないが、考えに考え抜くことで、人より優れた一品を作り出すことが出来るのだ。つまり、この部分が創真の本当の武器。遠月学園および、週刊少年ジャンプの猛者達を相手に戦い抜く主人公としての魅力なのだ。

だがそれでもあと少し及ばなかった。“食べると料理人の顔が浮かぶ料理”という点で、「炙りサンマのカルパッチョ」を作った葉山アキラが優勝した。これで現時点で遠月学園一年生で薙切えりなを除いたトップが決まった。

思い切った展開だらけの決勝戦


原作で読んだ時から思っていたが、秋の選抜決勝戦、この戦いは本当に思い切った展開の連続だったように思う。

三人での決勝戦

準決勝の一つの試合での両者勝ちあがりから実現した。今後の主人公のライバルとなるであろう決勝戦という舞台に、ライバル二人を立たせたことはなかなか思い切った展開だ。

グルメ漫画の主人公特権、二段構え料理の敗北

「ちょっと待ってください。俺の料理はまだ完成しちゃいないんですよ」このセリフが言えるのは、主人公の特権だ。こんなもったいぶった演出で負けたヤツなんて過去の料理漫画・アニメ・ドラマで見たことがない。バトル物で例えると、敵に倒された主人公が、正義と愛と友情パワーで立ち上がり、相手が驚く思いもよらない力を発揮したのにもかかわらず、再び負けてしまうようなものだ。

長い回想の果ての敗北

漫画において、回想は決着の証でもある。そのキャラクターの歩んできたストーリーを挟み込むことによってドラマ性が増し、勝った時の感動が増加する。これはどんな作品にも使われる当たり前の手法。しかし、創真の父親まで登場した長い回想の果て、葉山の回想が急に始まり、そのまま勝利をかっさらわれてしまう。二段構え料理といい、回想といい、勝ちムードは確実に流れていた。

優勝者は、インド出身の出生不明の男

これが格闘物だったり、ファンタジーだったらまだいい。高校を舞台としたグルメ物で最強のライバルがインド出身の出生不明の男というのはとてつもなく思い切った設定だ。しかも葉山は年齢も不詳なはず。高校一年生最強を決める大会だが、大人びて見える葉山は20歳を越えている可能性も十分にありえるのだ。さらに、もう一人の決勝進出者である黒木場リョウ。彼も北欧の港町で一人さまよっていた孤児。国籍、出生、年齢全て不詳なのに高校一年生扱いを受けている。もうムチャクチャだ。それでも違和感がないのがすごいとも言える。

結局、葉山には敗北し、黒木場にも勝てずに選抜大会は終わってしまう。だが、創真は負けてなんぼの主人公。まだまだ続く「食戟のソーマ」なのだから、ここら辺でこういった敗北は大事だったのかもしれない。

次回からは「スタジエール編」。創真だけでなく、色々なキャラクターが様々な店に出向いて現場の料理を学ぶ。いわば、修行編だ。みんな大好き秘書子ちゃんの読者人気が急激に上がったのもこの辺りから。

(沢野奈津夫)