INSIGHT NOW! 編集部 / クイックウィンズ株式会社

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今日、6月27日は「メディア・リテラシーの日」です。

「メディア・リテラシー」とは、次の3つを構成要素とする複合的な能力のこととされています。
1.(自主的に)メディアにアクセスし、活用する能力。2.メディアを主体的に(批判的に)読み解く能力。3.メディアを通じて双方向コミュニケーションを行う能力。
言葉にするのは簡単ですが、これを身に付けるのはとても難しい高度スキルです。インターネットが普及している今は、まさに玉石混交の情報が日々量産されていて、主体的に取捨選択し、判断することはとても難しくなっています。

この「メディア・リテラシーの日」を制定したのは、放送メディアのひとつであるテレビ信州です。1994年6月27日にオウム真理教による「松本サリン事件」が発生しました。このテロ事件は、実は一人の会社員をあたかも真犯人であるかのように報道し続けた、報道被害事件でもありました。そこで、テレビ信州は「メディア・リテラシー活動」の起点となった「松本サリン事件」の日を忘れないよう、記念日としました。「メディア・リテラシー」はともすると情報の受け手の問題として語られますが、発信する側にこそ「メディア・リテラシー」が必要だと考えてのことなのでしょう。

この4月「メディア・リテラシー」を語ったとされた東大総長の入学式式辞報道は、とても象徴的でした。東大HPに掲載されている式辞全文を読むと、「知のプロフェッショナル」になるための心構えを語っていて、「メディア・リテラシー」に関する部分はほんの一部に過ぎません。しかもその趣旨は「ヘッドラインだけでなく、記事の本文もきちんと読む習慣を身につけるべき」「海外メディアにも目を通すこと」の2点です。これを国内大手新聞社が「新聞を読もう」「新聞を読みますか」という見出しを付けて報道しました。まさに「メディア・リテラシー」を試されるような出来事でした。

情報は常に送り手の意図によって切り取られ、再構成されます。意図を明確に伝えることもまた、送り手の重要なメディア・リテラシーだからです。そのことを常に忘れないようにすることで、受け手側のメディア・リテラシーは身に付けられます。記事はヘッドラインだけでなく、本文をきちんと読む。内容に興味を持ったらソース(原典)をあたる。それだけでも随分と世の中の見え方が変わってきます。「メディア・リテラシー」を身に付けて、情報の海におぼれないように気をつけましょう。