映画「東京喰種」公式サイトより

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 ここのところ『鋼の錬金術師』『ジョジョの奇妙な冒険』など立て続けに報道されている人気マンガの実写化。6月16日には、人気マンガ『ワンピース』に関する実写映画化報道まで飛び出したが、集英社が否定したことで幕を閉じた。しかし、同じ集英社の人気マンガ『東京喰種トーキョーグール』は17日に実写映画化が正式発表され、ファンの間で賛否渦巻いている。

■実写映画化が正式発表…原作者もコメント

 累計発行部数が1800万部を超える人気マンガ『東京喰種トーキョーグール』。17日に『週刊ヤングジャンプ』で連載中の最新シリーズ『東京喰種トーキョーグール:re』の最新話が発売されたと同時に、映画版の公式サイトがオープンした。

 原作者の石田スイは今回の実写化にあたって、ツイッターで「さまざまなご意見あるかと思いますが」と前置きして、思いの丈を連続投稿。映画の製作の方々にワガママを聞いてもらって「『実写やるなら、この人がいいな』と思っていた方」が起用され、「脚本も沢山やりとりを繰り返し、脚本の方・監督さんに根気よく修正して頂きました」という。

 一部キャストの選考時には「直接演技を拝見に東京にも足を運びました。実写化を不安に思われる方々のお気持ちを、自分の行動で少しでも軽くできていれば嬉しいです」と語り、「こればっかりは(実際の撮影などが)始まってみないとわからないですよねー…。そこは私もおんなじです、すみません。一緒にビビっていてください」と訴えた。

「公式サイトのイラストを見る限り、初期のストーリーを実写化する模様です。懸念材料は、CG映像の活用もさることながら、グロテスクな表現ではないでしょうか。例えば、主人公の金木研が“グールとしての食欲”に目覚めて行動するシーンの数々をどう表現するのか。他にも、見るのが辛い描写だけれどもストーリー上、欠かせないシーンというのが少なくありません」(報道関係者)

 ファンの中では「想像を超える作品になって欲しい」「なんでも実写化すればいいって思い過ぎ」「実写化決定でとても不快な気持ちです」と賛否両論。また、石田のコメントを受け、主役予想に神木隆之介(23)や本郷奏多(25)、窪田正孝(27)、藤原竜也(34)などの名前が挙がっている。

 ファンが『東京喰種トーキョーグール』のメディアミックスを心配する理由の一つが、アニメかもしれない。

 2015年1月、地上波で原作とは別ルートを描いた第2期アニメ『東京喰種√A』が放送された。当初は「石田スイ本人が原案をつとめた」ということで話題を集めたものの、徐々に視聴者から大いに非難される結果となった。原作未読の視聴者を置いてけぼりにするストーリーはさることながら、第4話のバトルシーンなどで作画の手抜きも指摘され、“大人の事情”感たっぷりの内容だった。

「作者の“真”の『√A』描きおろしネームを掲載した『東京喰種トーキョーグール[anime] 』が出版されており、放送されたアニメと原案がかけ離れた内容になっていることは周知の事実。挙げればキリがないですが、このネーム上では月山習と鈴屋什造の幻の戦闘シーン(二人のやり取りが面白い)があったり主人公が『隻眼の王を倒す』と宣言するストーリーになったりしていました。怒り狂ったファンから『アニメと内容違いすぎる』『作者の原案でもう一回作りなおせ』と非難轟々です。アニメの出来が酷かったせいか、今回の映画化に関して石田さんは、仕事場の福岡から東京へ足を運んでかなり“介入”した様子が伺えます。『ファンにまた不快な思いをさせたくない』という優しさの表れではないでしょうか」(前出・関係者)

 成功するほうが少ないアニメの実写化。『東京喰種トーキョーグール』の実写映画はもう、原作者と一緒に「ビビって」待つしかないようだ。

文・佐々木浩司(ささき・こうじ)※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。