こんにちは、洗濯家の中村祐一です。3 回に渡ってお届けしている「アイロンがけの楽しみ方」。第2回のテーマは、「普段着へのアイロンがけ」についてです。ワイシャツと違いアイロンがけを怠りがちなカットソーやニットも、ひと手間かけるだけで見違えますよ。着ている人の印象アップにもつながるので、ぜひ実践してみてください。

アイロンには「洋服の整体」の役割もあります

前回の記事で「アイロンは洋服のメイクだ」とお話ししましたが、実は「整体」のような役割もあります。洋服は、着用と洗濯を繰り返すことで気が付かないうちにゆがんでしまうもの。縫い目や袖口、裾などを正しい位置に戻す意味でも、アイロンがけは重要なんです。形を補正することで着心地もよくなりますよ。基本的なアイロンの使用法や動かし方はワイシャツにかける際と同様ですので、第1回の記事も参考にしてくださいね。

アイロンがけの基礎やワイシャツのアイロン法はこちらでおさらい!

カットソーはアイロン時に袖と身頃の縫い目を整えましょう

カットソーは乾かす際にしわを伸ばしておけばよいと思われがちですが、アイロンを使用することで清潔感がアップし、着心地もよくなりますよ。

洗濯時にしわ伸ばしをして乾いたカットソー。このくらいの状態で着ている方が多いのではないでしょうか

洗濯時にしわ伸ばしをして乾いたカットソー。このくらいの状態で着ている方が多いのではないでしょうか

スチームオンアイロンを袖から当てていきます。内側の縫い目を合わせて袖の形を整えましょう

スチームオンアイロンを袖から当てていきます。内側の縫い目を合わせて袖の形を整えましょう

身頃(みごろ)の脇の縫い目もきっちり合わせます

身頃(みごろ)の脇の縫い目もきっちり合わせます

合わせた縫い目からアイロンを当てていきましょう。こうすることでゆがみを直すことができます

合わせた縫い目からアイロンを当てていきましょう。こうすることでゆがみを直すことができます

きれいになりました! ゆがみの補正をおこなうと、下ろしたてに近い着心地のよさを感じられますよ

きれいになりました! ゆがみの補正をおこなうと、下ろしたてに近い着心地のよさを感じられますよ

ニットはスチームを当てた後、手で形を整えます

ニットはアイロンを当て過ぎると繊維がつぶれてしまうことがあります。アイロンの接触を最小限に抑えるためにも、脱水を軽めにするなど洗濯時にあまりしわがよらないように心がけるとよいですよ。

コットンのニット。収納時のたたみじわが付いています

コットンのニット。収納時のたたみじわが付いています

カットソー同様、袖の内側の縫い目をぴったりと合わせてからスチームアイロンで形を整えます

カットソー同様、袖の内側の縫い目をぴったりと合わせてからスチームアイロンで形を整えます

たっぷりのスチームで蒸らすようにアイロンをかけていきましょう。シルクなどデリケートな素材の場合はフロートアイロンでスチームのみ当ててください

熱とスチームが残っているうちに形を整えながら縦横方向になでるようにすると、繊維がふっくらしますよ

熱とスチームが残っているうちに形を整えながら縦横方向になでるようにすると、繊維がふっくらしますよ

しわがなくなり、ニットのやわらかな風合いもよみがえりました

しわがなくなり、ニットのやわらかな風合いもよみがえりました

パンツのセンタープレスは内側の縫い目を合わせるのがコツ

脚をきれいに見せてくれるパンツのセンターラインですが、着用と洗濯によって薄くなってしまうもの。定期的につけ直しましょう。

今回はビジネススーツのパンツを使用していますが、カジュアルなパンツも同様の方法でOKです

今回はビジネススーツのパンツを使用していますが、カジュアルなパンツも同様の方法でOKです

腰まわりのしわが気になる場合は、先にアイロンがけしておきましょう

腰まわりのしわが気になる場合は、先にアイロンがけしておきましょう

パンツのセンターに折り目を付けるようにたたみます

パンツのセンターに折り目を付けるようにたたみます

内側の縫い目をぴたりと合わせるようにすると、ちょうど中央にプレスラインを付けることができますよ

内側の縫い目をぴたりと合わせるようにすると、ちょうど中央にプレスラインを付けることができますよ

まずは縫い目をまっすぐにプレスして固定

まずは縫い目をまっすぐにプレスして固定

縫い目を起点にアイロンを左右に滑らせ、下から上に順にラインをつけていきます

縫い目を起点にアイロンを左右に滑らせ、下から上に順にラインをつけていきます

パンツが温かいうちはラインが消えやすいので、少し時間を置いてからはいてください

パンツが温かいうちはラインが消えやすいので、少し時間を置いてからはいてください

プリーツは手でつまんで固定します

プリーツが施された洋服は、プリーツくっきりで着たいですね。制服のスカートのようなしっかりとした素材はアイロン台でかけてもよいですが、シフォンなど軽やかな素材の場合は、吊るした状態のほうがやりやすいです。

身頃にプリーツが入ったカットソー。ところどころプリーツがとれかかっています

身頃にプリーツが入ったカットソー。ところどころプリーツがとれかかっています

ゆるくなっているプリーツを手でつまんで形を取ります。細かいプリーツの場合は、複数本を一度につまんでもOK

プリーツの縫い目から裾に向けてスチームアイロンを当てていきましょう。やけどをしないよう注意してください

プリーツの山と谷がくっきりしました。仕上げに折り目加工剤を使ってもよいですが、シフォンのような薄い素材は硬くなる可能性あるので注意してください

プリーツの山と谷がくっきりしました。仕上げに折り目加工剤を使ってもよいですが、シフォンのような薄い素材は硬くなる可能性あるので注意してください

ギャザーは裏からアイロンを当てると立体的に

難易度が高いと思われがちなギャザーのアイロンがけですが、コツをつかめば簡単! 袖など立体的に仕上げたい部分は、ギャザーの上からではなく裏側から当てるのがポイントです。

袖、裾、衿元すべてにギャザーが入っているカットソー。ギャザーがつぶれているのでべったりとした印象です

袖、裾、衿元すべてにギャザーが入っているカットソー。ギャザーがつぶれているのでべったりとした印象です

裏側から、ギャザーの縫い目に向かってアイロンの先端を差し込むように当てていきます

裏側から、ギャザーの縫い目に向かってアイロンの先端を差し込むように当てていきます

手でやってみるとこんな感じ

手でやってみるとこんな感じ

表面からかける場合も同様です

表面からかける場合も同様です

袖や裾のギャザーに立体感が出て、デザインのかわいらしさが引き立ちました

袖や裾のギャザーに立体感が出て、デザインのかわいらしさが引き立ちました

最終回のテーマは「困った時のお助けアイロン技」です

洋服のアイロンがけ前後を見比べて、アイロンがけの楽しさを感じ始めていただけているでしょうか。第3回のテーマは、「困った時のお助けアイロン技」です。「もう着られないかも」と思っている洋服が、アイロンがけによってよみがえるかもしれませんよ。


>> 普段着を格上げ! カットソーやニットのアイロン法 の元記事はこちら