学生の窓口編集部

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秋冬の自炊メニューに迷ったら、「まずは鍋料理を思い浮かべてください。栄養のバランスが良くて調理が簡単なので、一人暮らしの若い人にもおすすめです」と話すのは、管理栄養士で糖尿病クリニックにて患者さんの食事指導にあたる西山和子さん。そこで西山さんに、「ベスト5の鍋料理」と「その理由」、また「一人用の簡単レシピ」と「一人前のカロリー」を教えてもらいました。

「一人でお手軽メニューになるように、薬味などはチューブタイプを、だしはインスタントの昆布だしの素を使用します。二人前以上を作る場合は、材料を人数分用意してください。どれもダイエット中の人にもお勧めできます」と西山さん。

■1位 魚介の水炊き 約157キロカロリー

1位に選んだ理由は、ダシに野菜や魚を入れるだけで簡単、また栄養のバランスが整ううえに、カロリーをかなり控えることができるからです。食材は冷蔵庫のあまりものの野菜と、手軽に買えるタラなど白身の魚で間に合うので、トータルで見て良質な料理だと思います。

よく知られている「鶏の水炊き」もいいですが、メインの具を魚にすることで、DHAやEPAなど血液サラサラ効果のある不飽和脂肪酸をとることができます。少し豪勢にするには、食材の価格は高くなりますが、カワハギ、タイ、エビを使用してもいいでしょう。どの魚にしてもカロリーはお肉ほど高くなりません。

材料(1人前)

タラ 一切れ(80g)、木綿豆腐 1/4丁(80g)、白菜 ひとにぎり(100g)、ニンジン 1/4本、長ねぎ 1/4本、えのきだけ 1/4個、だしの素 小さじ1、水 350ml、ポン酢(つけだれ) 適宜

■2位 トマト鍋 約232キロカロリー

トマト缶やトマトジュースを使って「トマトだし」を作り、トマトの栄養を十分にとりいれます。たっぷりの野菜にチーズや魚介を加えてタンパク質をとり、残り汁でリゾットやパスタを作って、具材の栄養を最後までおいしくいただきましょう。

エビや安価なイカ、白身魚や鶏肉、貝類などがトマトだしに良く合い、缶詰のサバやツナでもあっさりおいしく仕上がります。貝類を用いる場合は砂抜きをしっかりしましょう。鍋が焦げつかないように、フタをして蒸してください。

2位に選んだ理由は、リコピンなど体に有効に働くポリフェノールがたくさんとれること、また、色目を楽しめて華やかな食卓になることなどによります。

材料(1人前)

エビカラ付き 2匹(80g程度)、鶏むね肉(皮なし・薄切り) 60g、タマネギ 1/4玉、キャベツ ひとにぎり(100g)、しめじ 1/4個、冷凍ブロッコリー 2個、トマト缶 1/4缶(100g)、コンソメだし 小さじ1/2、水 50ml、チーズ(トッピング) お好みで適宜

■3位 豚肉と水菜のハリハリ鍋 約222キロカロリー

ハリハリ鍋といえばクジラ肉を使った鍋料理をイメージする人が多いかもしれませんが、「ハリハリ」とは本来、水菜を指します。水菜が鍋の中でハリハリと音を立てることから名付けられたそうです。ここではクジラ肉ではなく、水菜をたくさん使った鍋料理を紹介します。タンパク質としては、手軽に手に入るので、豚肉や油揚げを使用しましょう。

3位に挙げた理由は、水菜は食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富な緑黄色野菜で、便秘気味や風邪のとき、また美肌を意識したいときにもお勧めします。料理初心者は、サラダ用の水菜を選ぶと扱いやすいでしょう。

材料(1人前)

豚ロース肉(薄切り) 60g、油揚げ 1/2枚(10g)、水菜 1/2束、白菜 ひとにぎり(100g)、ポン酢(つけだれ) 適宜

■4位 白菜と豚肉の蒸し鍋 約213キロカロリー

油を使わずに、野菜の水分を上手く利用して蒸すだけの鍋料理です。野菜と豚肉のうま味を味わいながら、野菜の栄養素をたっぷりとることができます。タマネギと豚肉は素材として相性が良く、ビタミンB群の利用を高めます。ポン酢とレモン汁を合わせたつけダレで食べましょう。新鮮な食材からビタミンCを補い、免疫力アップに働きかけます。

野菜の量は好みで変更してください。鍋を使わなくても、耐熱用の深い大き目のお皿を用意し、モヤシ、白菜、タマネギを順に乗せ、周囲にニンジンとインゲンを盛り、一番上に豚肉を広げてトッピング、ふんわりラップをして、電子レンジ(500W)で約5分加熱してもおいしく作れます。コンロで調理する場合は、必ずフタをして蒸してください。

材料(1人前)

豚もも肉(しゃぶしゃぶ用) 80g、白菜 ひとつかみ(100g)、モヤシ 1/4袋、タマネギ 1/4個、ニンジン 1/4本、冷凍インゲン 2〜3本、水(鍋で蒸す時のみ) 50ml、レモン 1/2個、ポン酢 大さじ1

■5位 おでん鍋 約244キロカロリー

自作のおでんなら、食べたい低カロリーの具材を組み合わせることができて、だしを洋風にする、和洋のミックスにするなどでコンビニの総菜とは違う味わいを作ることができます。薬味にお好みのみそを加えて、いつものカラシではない味の変化を楽しむのも面白いでしょう。

お勧め食材のこんにゃくは、食物繊維が豊富で便秘の改善に働くうえに、カロリーはほぼゼロです。普段から積極的に食べましょう。時短のためには野菜はひと口大に切る、電子レンジで下茹(ゆ)でするのもよいでしょう。煮くずれしない食材を選ぶのが失敗しないコツです。

材料(1人前)

厚揚げ 1/2個、ちくわ 1/2本、ゆで卵 1個、大根 100g、ニンジン 1/4本、板こんにゃく 1/4枚、だしの素 小さじ2/3、しょうゆ 大さじ1/2、みりん 大さじ1/2、水 600ml からしチューブなど適宜

西山さんは、鍋に入れる具材を選ぶポイントについて、栄養の面からこうアドバイスを加えます。

「まず、くさみの無いタンパク質食材を1〜2品選びます。次に、色の濃い野菜と、薄い野菜を組み合わせて選びましょう。腹持ちをよくするために、油揚げや厚揚げを適量使うとよいでしょう。味を薄めにすると塩分を控え、ごはんのおかわりを防ぐこともできます」

筆者はすべて、自炊して食べてみました。栄養のプロのお勧めとあって、特に忙しかった日、疲れを感じる日に食べると元気が出るように感じます。手軽で安くておいしくて栄養満載の冬鍋ベスト5、ぜひお召し上がりください。

※4位の白菜と豚肉の蒸し鍋:撮影/鈴木康浩 『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(著・福田正博 監修・西山和子 洋泉社より) 

(品川緑/ユンブル)

取材協力・監修 西山和子氏。
糖尿病専門・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。