電車内ビジョン広告に最適な動画とは?広告接触状況から考えるコンテンツ設計3つのポイント

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電車内ビジョン広告は今や、首都圏のほぼすべての路線で見かけるようになりました。11月末には山手線の新型車両が運転初日にして不具合が生じ話題となりましたが、この新型車両では、従来のドア上に加えて「まど上(網棚上)」にもサイネージが導入されています。

視認率75.7%を誇る「電車内ビジョン広告」(参考:「視聴者の5割が「購入したい」と回答。今注目の電車内ビジョン広告の効果」)は、高い広告効果が期待できる配信面として注目を集めています。

それでは実際に電車内ビジョン広告のコンテンツを設計する際には、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか?そのヒントとしてまず、「習慣的に視聴される」「モバイル端末を操作しながら視聴される」という電車内ビジョン広告の接触状況に関する2つの特性に注目します。

習慣的に視聴される、日常生活に密着したメディア

電車内ビジョン広告は、通勤・通学などで電車を利用するターゲット層に毎日接触できるという特徴を持つ動画広告配信面です。
JR西日本がテレビCMなどの車内広告以外のメディアと、電車内のデジタルサイネージとの接触状況を比較した調査(参考)からも、電車内ビジョン広告はテレビCMに次いで”習慣的に見られている”メディアであることが明らかになっています。


画像参照元:http://www.jcomm.co.jp/transit/price/databook/pdf/db_09_12.pdf

モバイルデバイスを片手に視聴される

電車内ビジョン広告の2つ目の特性として挙げられるのが、スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末との相性の良さです。メトロアドエージェンシーの調査(参考)では、スマートフォン・タブレット所有者のおよそ9割がメトロ乗車時に車内でこれらのモバイル機器を操作していることが分かっています。

同レポートではまた、乗車中にスマートフォンやタブレットを「だいたいいつも見たり操作している」と回答したヘビーユーザー層を対象に、時間帯別に車内での行動を回答してもらった結果、モバイル端末を使うのと同じくらいの割合で車内広告を見ていることも明らかとなりました。
さらに、モバイル端末のヘビーユーザー層は、回答者全体に比べて広告を「きちんと」と見ていることも分かっています。

▼スマートフォン・タブレットのヘビーユーザーは、端末だけでなく車内広告も見ている


画像参照元:http://www.metro-ad.co.jp/files/topics/193_ext_03_0.pdf

▼ヘビーユーザー層はモバイル端末を利用しながらも車内の広告を「きちんと」見る傾向にある


画像参照元:http://www.metro-ad.co.jp/files/topics/193_ext_03_0.pdf

電車内ビジョン広告のコンテンツ設計の3つポイント

それではここから、上記のような電車内ビジョン広告の特性を押さえたコンテンツ企画のポイントを事例とともに見ていきます。

ポイント1:視聴者に役立つコンテンツをシリーズで配信

電車内の乗客の多くはスマートフォンでインターネットを使っていることから、乗客は電車移動というスキマ時間にもさまざまな情報を求めている状態であることが推測されます。
さらに、電車内ビジョン広告に視線を向けることが習慣化していることから、繰り返し見たくなるような、視聴者にとって有益な情報を提供するコンテンツは関心を集めやすく、ブランド認知や好意度を高める可能性があると考えられます。

ポイント2: 電車内ビジョン広告とスマートフォンを連動させた企画

乗客の手の中にスマートフォンがあるのであれば、「ビジョン広告視聴→モバイルでの検索」の流れを作り出すことは欠かせません。
株式会社ジェイアール東日本企画の調査(参考)でも、車内広告に接触後、「情報を検索するなどして集めた」との回答が3割を占め、交通広告以外の情報源からブランドを認知した人に比べて2倍近い割合となっています。


画像参照元:http://www.jeki.co.jp/info/files/upload/20150514/150514hp.pdf

動画の最後で検索ワードを訴求するだけでなく、ソーシャルメディアを含むクロスメディア施策、動画シェアに対するインセンティブ企画など、多角的なプロモーション戦略を立てることでさらなる効果が期待できます。もちろん、サイトのモバイル対応も必ず行いましょう。

▼ポイント1、ポイント2を押さえた電車内ビジョン広告の例

 

企業:パナソニック株式会社
暮らしのアイデアをシリーズで紹介。特設サイトではインタラクティブムービーを設置し、興味を持ってサイトに訪れたユーザーをさらに楽しませるコンテンツを用意している。

 

企業:株式会社コーセー
視聴者から寄せられた美容に関する悩みを解決するシリーズ。
特設サイトにてアーカイブを設置。美容の悩みを投稿できる参加型のコンテンツとなっている。

 

企業:楽天株式会社
電車内ビジョン広告の「スマホとの相性・検索へ誘導しやすさ」という特徴を活かし、手に持っているスマホですぐにダウンロードできるアプリを訴求。動画は紙面広告以上に操作のステップが伝わりやすく、ダウンロードを促しやすい。

ポイント3: 地域性を踏まえてサービスや商品を訴求する

路線ごとに出稿できる電車内広告では、地域に関連性の高い広告も有効です。車両内に数多くの広告が存在する中で、視認性の高いビジョン広告を使えば、より多くの人の目を引き、効率的に訴求することができます。

▼地域性を活かしたコンテンツ事例

 

企業:エクスコムグローバル株式会社
成田エクスプレスで配信された動画。「成田エクスプレスの利用客=空港利用者」という明確なターゲット属性に対してサービス利用を促している。


Produced by LOCUS (費用レンジ:30-50万)

企業:ニッセイ文化振興財団
子ども向けの夏休み限定のイベントを告知。開催場所周辺の路線で配信することで、見込み層に対して効率的に周知を図っている。

将来的にはリアルタイム配信も可能に

この度話題となった山手線の新型車両は、車内のデジタルサイネージが増設されるだけでなく、導入されている「INTEROS(インテロス)」という次世代車両制御システムによって広告配信の仕組みも新しくなっています。システムの安全上、実施には至っていませんが、技術的にはリアルタイムの広告配信が可能となっており、近い将来、電車内ビジョン広告は停車駅や時間帯、天候などに合わせてリアルタイムで動画広告を配信できるようになるかもしれません。今後も引き続き注目していきたい動画配信面です。