ミラン番記者が本田の現状を解説「彼のポジションはどこにあるんだ?」

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 先月のナポリ戦後に日本代表FW本田圭佑が、クラブやイタリア・サッカーのあり方について疑問を投げかけたコメントが、ここに来て「1月にも移籍」という報道でまたもや炎上している。6日のアタランタ戦前日会見で、シニシャ・ミハイロヴィッチ監督は「ミランにいる必要はない。プレーするチャンスはあったはずだ」と切り捨てた。しかし、この会見の監督の話をよくよく聞いてみると、本田の発言は曲解して同監督に伝わっていた。本田は一言も「ミランから出たい」とは言っていない。確かに「自分が出場できない理由はわからない」とは言っていた。たが“ミランは、そしてイタリア・サッカーはこのままではいいのか”と辛口の意見を述べただけだ。

 しかしその表現が、同監督にはただの監督・クラブ批判だと映ったらしい。もちろん、本田は日本語でコメントしたのであり、監督が何からその情報を得たのかは知らないが、イタリア語で本田発言の内容を知った。いくら有能な翻訳者でも通訳者でもわずかな“語”差やニュアンスの違いが出てくる。まるで伝言ゲームのように人伝えで話を聞いたのではないか。これまで同監督と本田が直接、本音で話し合ったという情報は届いていない。

 この一件について、コリエレ・デッロ・スポルト紙のベテラン・ミラン番記者、フリオ・フェデーレ氏に聞いてみた。すると開口一番「1月にミランを出るべき」と断言した。見解はこうだ。

「同監督は本田を左サイド、トップ下で試した。しかし本田のポジションではなかった。マリオ・バロテッリとエムバイェ・ニアンがトップコンディションになれば4−4−2の布陣でいける。1月には(ケヴィン・プリンス)ボアテングもやってくる。本田のポジションはどこにあるんだ?」。

 ボアテングは所属するシャルケから特別の許可をもらい、ミランの練習に参加しており、1月のメルカート期間に移籍する可能性が高い。

 同記者は続けた。「本田にはプレミアが合っているよ。本人も行きたがっているんだろう? すでにいくつかオファーも来ているというじゃないか。ミランでの現状は非常に難しい。彼の年齢を考慮してもプレミアに行った方がいい」と締めくくった。

 個人的には本田の意見に賛成だ。イタリアはもはや欧州サッカーから取り残されつつある。ただ、レッジーナに所属していた中村俊輔(横浜F・マリノス)も「イタリア・サッカーとは? 結果が全て」と語っていた。本田の言うこともわかる。しかし実際、試合に出場しているのはゴールを挙げている選手。攻撃陣を除くとDFフィリップ・メクセスやルカ・アントネッリはアタランタ戦でもプレーしていた。

 このインターナショナルウィーク中、本田はミランでの鬱憤を晴らすかのようにシンガポール戦とカンボジア戦でゴールをマーク。ワールドカップ予選の日本記録となる5戦連続ゴールを達成した。残留するにはミラノに帰還してからも、セリエA再開から年末までの約1カ月間、途中出場でもゴール、アシストという結果を出すのみだ。

文=赤星敬子