若者の新聞離れが叫ばれて久しい昨今、萌えキャラ天声人語を朗読するゲームアプリ「聞かせて天声人語」を朝日新聞が10月14日にiOS向けにリリースした。このアプリは100年以上の歴史を持つコラム「天声人語」の2014年3月〜2015年6月掲載分から厳選した30編を収録したもの。

このアプリに対して、「この斜め上感たるや」「公式が狂った」「朝日さんは何を考えているんですかねぇ。」など驚く声がTwitterでは続出。朝日新聞記者も同様のようで、テヘラン支局長の神田大介氏は「弊社はじまったな」と、スポーツ局の伊木緑氏は「我が社の方向性に一抹の不安を感じる。もっとほかにやることあるでしょう」とツイートしている。

実際にプレイしてみた


あまりに不思議な組み合わせで興味を持った筆者も「聞かせて天声人語」をプレイしてみた。舞台は女子高の放送部。3人の部員を中心に話が展開する。クールで声優志望の出雲姫子、素直な性格でアナウンサー志望の伊勢ひなた、明るい帰国子女の伏見由遊香と、それぞれ最近の萌えキャラの流行をおさえた設定もある。


なぜ天声人語を朗読するに至ったかは、冒頭で説明されている。新聞部を兼部する伏見が朗読練習のときに好きな文章を読んでいいと言われ、新聞を取り出したのがきっかけだ。「新聞の中では読みやすい方」と他の部員にも天声人語を読むようにすすめると、「ひなでも楽しく読めそうな記事よ!」「うんこれ面白そう!ちょっと読んでみていい!?」と盛り上がりスト―リーが進行していく。ちょっとこれは相当無理のある展開のような……。


天声人語の朗読部分のみが声で読み上げられる。女性声優を起用し、登場するのは萌えキャラなのに、朗読はナレーション風でいたって真面目だ。第1話の朗読内容は、詩人のまど・みちおが104歳で亡くなった話だった。天声人語なのでもちろん内容は固い。これを読んで喜ぶ女子高生って設定は、やっぱり苦しいぞ!

読み上げた後、テーマに沿った時事問題クイズが5問出題される。1問正解するごとにキャラを成長させるアイテムがもらえ、成長度合いによってキャラクターの衣装を獲得できる。なかには魔女っ娘の衣装もあるようで、萌えの部分はけっこう頑張っているようだ。


ストーリーは15話まで無料で楽しめるが、16話以降やサイドストーリーは課金が必要となる。サイドストーリーでは別のキャラも登場しており、人気声優の竹達彩奈さんと三上枝織さんを起用していた。かなりアニメ・声優好きを意識して作っているようだ。

新聞離れを危惧して高校生や大学生向けに作られたというこのアプリ。新聞に親しみを持ってくれるかどうかは未知数だ!
(やったー麺)