学生の窓口編集部

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賃貸部屋を探している同僚が、「敷金ゼロ円、礼金ゼロ円」のいわゆる「ゼロゼロ物件は得なのだろうか?」と考え込んでいます。そこで「快適で安全なひとり暮らし・女性の暮らし」をモットーに活動する不動産アドバイザーの穂積啓子さんに、お話を聞いてみました。

■何かのデメリットはあると想定しておく

「ゼロゼロ物件なら、入居するときの初期費用をおさえることができそう」とイメージしますが、同時に、「敷金・礼金が必要な部屋が多いのに、なぜゼロゼロなのかな。なにかウラがあるのでは?」と勘繰る人も多いのではないでしょうか。穂積さんは、ゼロゼロ物件が増える理由についてこう説明します。

「賃貸部屋の契約のときには、敷金と礼金を、家賃の1〜3カ月分ずつ支払うのが一般的ですが、なかには、『敷金ゼロ円・礼金ゼロ円』、あるいは『礼金1カ月だけ』という契約の方法も増えてきました。

家主側にすれば、『敷金礼金をたくさん払える人のほうが、途中で家賃滞納などがないだろう』と思うのが本音です。しかしながら、マンションの数がどんどん増えるこのごろ、『入居希望者がおらず、空室のままだ』、『入居してもらってもすぐに退去される』などの事情があり、早く入居者を獲得したいのもまた本音です。

空室のまま放っておくと1円の利益にもならないため、少しでも早く満室になるように策を考えているわけです」

では、ほかに比べてマイナスの点がある物件が多いのでしょうか。
「やはり何らかの事情はあると思います。築年数が古い、駅から遠い、近隣に便利な施設がないなどの理由で空室率が高いという例があります。また、ゼロゼロであるけれど、『12カ月以内に解約の場合は、家賃の1カ月、あるいは2カ月分を違約金として支払う』などの条件が設定されている場合もあります。

ですから、『ゼロゼロである理由』を、案内の業者に率直に聞いてみるといいでしょう。

ただしそれらは、実際に内見してみて、気に入れば問題がないことです。問題は、『ゼロゼロ物件で初期費用をおさえましょう』と宣伝しながら、通常の部屋の契約にはないプラスアルファの費用を請求される例です」と穂積さん。

■鍵の交換費用、ハウスクリーニング代、室内消毒料……

具体的にどういう費用かというと、穂積さんは次の例を挙げます。
「よくある例として、家主側が負担するべき『鍵の交換費用として15,000円』や『ハウスクリーニング代・30,000円』、管理会社や仲介業者による仲介手数料以外に請求される『事務手数料・15,000円』、また、本来は借りる側が自由に選べるはずの『室内消毒料・15,000円』、『害虫駆除料・15,000円』、『安心サポート費用・15,000円』などを強制する場合です」

これらを請求された場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
「部屋を借りるときには、料金を請求される前に、仲介業者の宅地建物取引士から借り主に対して、『重要事項説明』を行います。これは法律で義務付けられていますので、必ず行われます。

初期費用の明細、建物のプロフィール、家主の氏名や所在地、部屋の設備の説明、部屋の居住人数、使い方、ペットや楽器が可かどうか、退去するときの原状回復費についてや条件、更新の期間とその方法など、書類が用意されていて、それを読みながら説明を受けることになります。

このときに、支払う費用について疑問に思うことがあれば、必ずその場で質問するようにしてください。署名捺印すると、『家主側・業者の言う条件をのんで契約を締結した』ということになります」(穂積さん)

さらに穂積さんは注意点として、次のことを強調します。
「退去するときの『原状回復費用』についての説明をよく確認してください。8畳ワンルームの部屋の壁紙とフローリングの改装費として60万円を請求されてトラブルになった例があります。