レッドソックス・上原浩治【写真:田口有史】

写真拡大

切れ味抜群の直球にも再び賛辞、140キロでの空振りに「なぜあのボールが打てない?」

 レッドソックス上原浩治投手が11日(日本時間12日)、本拠地ヤンキース戦の9回に登板し、1回1安打無失点2奪三振の好投で22セーブ目を挙げた。田澤純一投手も1回2/3を3安打1失点1奪三振と好投し、試合は5−3で快勝。7試合ぶりのヒット以外は圧巻の投球を見せた上原について、地元メディアは直球、スプリットのコンビネーションを絶賛している。

 注目のライバル対決は「FOXスポーツ」で全国中継された。上原が登場し、先頭のテシェイラへの初球にスプリットを投じると、解説のスポーツライター、トム・ベルドゥッチ氏は「ウエハラはスプリットでスタートしました。(今年のこれまでの)上原のピッチングは60パーセントがスプリットです」と説明した。

 さらに、上原がスプリットを連投すると「スプリット、スプリット、スプリットです」と連呼。もう1人の解説者で、マリナーズなどで活躍した元メジャーリーガーのハロルド・レイノルズ氏がこう補足した。

「毎回スプリットを投げるのですから、それを狙えばいいのですが、腕の角度がファストボール(速球)にしか見せません。そして、直球のようにハードに投げ込むので、それを称えなければいけません」

 同じ腕の振りから2つの球種を投げ込んでくる守護神の投球を称えた。

スプリットは「単純にえげつない」、直球は「回転数が多い。彼のボールは球速が落ちない」

 結局、上原はテシェイラに対して6球連続でスプリットを投じて空振り三振に仕留めた。実況が「単純にえげつない。打者から逃げていきます」と脱帽すると、レイノルズ氏が再び説明する。

「握りはスプリットですが、投げ方はファストボールです。そして、打者から逃げるように曲がりながら落ちます。何が来るかわかりません。特に2ストライクの場面で、彼がファストボールを投げるかもしれないと思わせることを、褒めなければいけません」

 打者にとって“恐怖”とも言えるスプリットを投げ込む上原の優れた技術を改めて絶賛した。

 さらに、続くヤングの初球に88マイル(約140キロ)の直球を投じ、空振りを奪うと、絶賛のコメントは直球にも及ぶ。

 実況の「最初の空振りしたボールは88マイルでした。なんであのボールが打てないのでしょう?」との問いに、ベルドゥッチ氏は「彼のフォーシームファストボール(直球)の回転数は、グラフの外にはみ出すほど抜群です。通常のファストボールは球速が落ちていきますが、彼のボールは落ちません」と解説。豪速球なしでメジャーの猛者を圧倒する上原の投球の秘密を明かした。

「感銘的なスプリットのバラエティ」

 上原はヤングに7試合ぶりのヒットとなる二塁打を浴びたが、ヘッドリーは87、88マイル(約140、142キロ)の直球などで追い込み、最後はスプリットで空振り三振。

「感銘的なスプリットのバラエティです。テシェイラのボールは高めから外に急速に沈み込みました。今のボールは内側に急降下しました」

 ベルドゥッチ氏は、上原の決め球の威力に再び脱帽している。

 上原は最後にマッキャンをスプリット2連投で中飛に仕留めて、試合を締めた。22セーブ目を挙げ、防御率は2.45まで向上。レッドソックスでは69セーブ目となり、スパーキー・ライルと並ぶ球団史上7位タイに浮上した。

 絶対守護神は地元メディアから、ワールドシリーズ制覇に貢献した2013年の姿を取り戻したと称えられている。地区最下位とはいえ、首位ヤンキースとは5・5ゲーム差。逆襲へ向け、上原が他球団から脅威の存在となっている。