代打時々先発という起用が続くマーリンズのイチロー[Getty Images]

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◆ 先発出場した最近5試合の成績は…

 ここまで「代打時々先発」という起用が続くマーリンズイチロー。打率は.286、四球も例年以上に多く選んでおり、打率・出塁率ともに昨季に比べやや高めの数字が残っている。しかし今季32安打のうち長打は僅か2本(三塁打1本、本塁打1本)と少なく、長打率は昨季から微減という状況だ。

 今季は開幕から第4の外野手として主に代打など試合途中からの起用が見込まれていた。イエリッチの故障などでスタメン起用も想定以上に多かったが、イチローの今季ここまでの数字を見ると、2015年版打撃スタイルは昨季までのそれと一線を画している。

 まず空振り率(全投球に対して空振りした確率)は昨季自己ワーストの7.2%(14球に1球)だったのが、今季は自己ベストとなる3.0%(33球に1球)と“ボールをバットに当てる”という意識が高まっていることが分かる。また、“転がす”という意識もより強く出ており、ゴロの割合は昨季の57.9%から今季69.5%と増加している。

 また単にゴロが増えただけでなく、逆方向への当たりも多くなっている。昨季31.9%だった左方向への当たりが今季42.1%まで増えている。よりミートに徹し、左方向へ転がすことで、“内野安打でもまずは出塁したい”という意識が出ているといえる。実際、打球属性がゴロの時の打率は.247で、18本の安打が生まれているが、うち8本が内野安打である(44.4%)。比較的似たタイプといわれるジャイアンツの青木が33.3%なので、いかに内野安打の比重が高いかが分かるだろう。

 とはいえ、しょせんゴロ時の打率は.247とフライ時(.267)やライナー時(.625)に比べると低くなってしまう。今後、打率3割超え、長打数増加を狙うなら、特にライナー性の打球数は増やしていきたいところだ。

 ここまで試合終盤の代打起用が多く、特に出塁が求められる場面が多いことから、上記のような結果が出ていると思われる。しかしここまで代打としての打率は.250。最近4 回の代打起用ではノーヒットと、1試合1打席限定ではなかなか結果を残すことができていない。逆に先発時は最近5試合で18打数7安打(打率.389)と数字を残しており、本来の力を発揮している。

 外野の主力3人にケガなどがない限り「代打時々先発」起用は続くだろうが、当面は代打で結果を残しつつチャンスを待つしかない。スタイルチェンジを図った2015年の打撃スタイルは功を奏すのか。イチローから今後も目が離せない。