マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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メジャー通算2878安打目を放ったレジェンドは「有資格1年目で殿堂入りする選手」

 マーリンズイチロー外野手は3日(日本時間4日)、本拠地でのカブス戦に「6番・レフト」で先発出場し、3打数1安打1得点で7−3の勝利に貢献した。メジャー通算2878安打とし、並んでいたオマー・ビスケルを上回って歴代単独40位に浮上したレジェンドだが、敵地のテレビ中継で現役選手としてトップ5に入る数々の成績とともに「イチローがいる幸せ」と評されている。

 5月31日のメッツ戦以来、3試合ぶりのスタメンとなったイチローは、0−0で迎えた2回1死一塁で第1打席を迎えた。

 カブスの地元シカゴ向けに試合を中継していたテレビ局「マイネットワークTV」の実況は、背番号「51」が登場すると、「イチロー。マイアミで1年目です。確実に、有資格1年目で殿堂入りする選手でしょう。41歳。01年から10年までオールスターに選出され、その間、ゴールドグラブ賞を10度受賞。ルーキーイヤーの2001年に27歳でMVP、新人王に輝きました」と伝え、まずは華麗なるキャリアを紹介。現役引退後、5年で資格を得れば、即座に野球殿堂入りするとまで絶賛した。

 イチローはこの打席で、相手のエース左腕レスターの93マイル(約150キロ)の直球をレフト方向に弾き返した。左翼手のコグランがスライディングキャッチを試みたが、ボールはグラブからこぼれ、記録はヒットとなった。

メジャーで現役トップ5に入る数々の実績、ルーキーイヤーの偉業も紹介

「(走者)全員、セーフ。グラブに収めかけましたが、キャッチできず。キャリア通算2878本目。日本での数字を含めると4156安打です。コグランはボールを保持できそうでしたが、グラウンドに落下直前にファンブルしてしまいました」

 現役時代に名遊撃手として鳴らし、イチローの打球を何度も処理したビスケル。その記録を上回った通算2878本目のヒットをこう紹介した。

 マーリンズは1死一、二塁とチャンスを広げ、続くリアルミュートの二塁打で二塁走者のオズナが生還。イチローは三塁まで進むと、エチャバリアのセカンドへの内野安打で、2点目のホームを踏んだ。マーリンズはさらに2点を加え、この回4点を奪った。

 さらに、イチローが3回1死一塁の場面で2度目の打席に立つと、敵地向けの実況はメジャー史に輝く偉業を紹介。「イチローはルーキーイヤーに新人王とMVPに輝きましたが、1975年のフレディー・リン以来でした」。メジャーの歴史で、新人王とMVPのダブル受賞は、レッドソックスなどで活躍したフレッド・リン外野手、そしてイチローのわずか2人という事実について言及した。

 また、現役選手でトップ5に入るイチローのメジャー通算成績も紹介。試合開始時点の数字として、2253出場(4位)、2877安打(2位)、打率3割1分7厘(3位)、490盗塁(1位)、1317得点(5位)の成績を伝えた。

イチローは「キャノン砲を持った右翼手」、歴代39位、同38位も目前

「(肩に)キャノン砲を持った右翼手。彼は27歳でキャリアをスタートさせましたが、彼が現役選手でどこに位置するのか一目瞭然です」

 現役選手で群を抜いた成績であることを強調する実況に対し、解説者は「彼は多くの四球を選びませんが、三振も多くありません。彼はボールをバットで捉える術を見いだし、オープンなエリアを見つけます」とその卓越した技術について分析した。

「毎日、レギュラーでプレーする日々は過ぎたかもしれませんが、イチローがいることは本当に幸せです。打率2割8分4厘。彼は同僚と球場に来ることをすごく喜んでいます。同僚も彼が来年もマーリンズでプレーしたいと考えているでしょう」

 メジャー15年目を迎えた最年長野手について、実況者がそう評すと、解説者は「41歳ですが、明らかに素晴らしい体型を保っています」と、そのコンディショニングを絶賛した。

 3点を失った先発ハレンが6回途中に降板する際、イチローは「ダブルスイッチ」で途中交代となった。この日は3打数1安打1得点で打率を2割8分6厘に伸ばし、チームも2連勝。通算2880安打で歴代39位のフランキー・フリッシュ、同2884安打で歴代38位のザック・ウィートも目前に迫っている。

 不惑を越えてなお輝きを放つレジェンドは、アメリカのベースボールファンに喜びを与えているようだ。