中曽根康弘元首相は23日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で海外メディアの記者に対し、同氏が会長を務める世界平和研究所が先月発表した憲法改正試案について講演した。


23日、東京・有楽町の外国特派員協会で講演する中曽根元首相(左)。(撮影:小田光康)
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 中曽根氏は、第1条で天皇の地位を『元首』に規定したことに絡み、外国人記者からの天皇の投票権の有無についての質問に対し、「天皇は聖と俗の中間地帯におられる。日本の歴史と文化と伝統を持った象徴としての聖の部分と、総理大臣の補佐によって事務を処理する俗の部分と両方持っておられる。投票権は持たない」と答えた。

 また、イラク南部・サマワの陸上自衛隊を支援するために、豪州政府が兵士の増派を決めたことについて、「やむを得ない事態。日本の防衛軍も外国並みの人道的な問題や国際協調の問題などでは、普通の国として貢献できるように改革していかねばならない」との見解を示した。

 同試案は、国民主権の強調を基本に、(1)天皇の地位を元首、(2)戦争放棄・防衛軍の創設・集団的自衛権、(3)国家による家族の保護、(4)衆議院優位・総選挙を利用した実質的首相公選制などを明記。また、憲法改正の発議については、現行の国会議員の「3分の2」を「過半数」に改め、国民投票の義務づけを提案している。【了】