21日、ホテル日航東京で開いた記者会見で「質で世界一になりたい」と話す渡辺社長(撮影:吉川忠行)

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トヨタ自動車<7203>の渡辺捷昭社長は21日、東京都港区のホテル日航東京で開いた記者会見で、「足元を固めて成長を続け、きちんと着実にやってきた1年」と振り返った。一方で、ニーズの多様化や需要低迷など、複雑化する市場への対応について触れ、「需要の創造」が来年のキーワードになるとの見方を示した。そのほかのやりとりは以下の通り。

――今年のトヨタ単独の国内販売台数の見通しは。

 22日に正式に発表するが、少なくとも去年並みには頑張りたいと思っている。今日現在では少し足りないという状況だ。

――来年以降、自動車の市場はどのように推移していくか。

 今年は去年と同レベルかそれ以下と見ている。トヨタとして市場を活性化させ、需要を創造するような商品を作っていくことが重要である。

――2007年には、GMを抜き販売台数が世界一になると目されているが。

 他社と比べてどうこうということではなく、質的なレベルで世界一になりたい。質が上がれば量はついてくると思う。

――トヨタの株価が高値圏で推移している。

 日本の景気全体がいざなぎ景気を超え、しっかりとした足取りであることの反映ではないか。トヨタで言えば、いい商品を作ることで、日本経済全体を引っ張っていければと思っている。

――2015年に新しい燃費基準が導入される予定だ。

 かなり厳しい燃費基準だ。トヨタとしては、環境・エネルギーの分野は生命線となるテーマなので、絶対クリアするようにしていく。

――燃費基準を単独でクリアできないメーカーが生まれ、業界の合従連衡(がっしょうれんこう)が進むのではないか。

 今後、技術開発などをいろいろな会社と一緒にやっていく機会が増えるだろう。今回の燃費基準が、合従連衡のひとつの引き金になる可能性はあると思う。

――春闘について、自動車総連が賃金引き上げを求める方針を打ち出した。

 世界で戦っていくためには、コスト競争力をきちんとつけていくことが大事。安易に賃上げをするのはよくない。期間従業員については、門戸を開いて積極的に正社員にしている。今年は900人ほどだったが、必要であれば来年も広げる。【了】

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