26日、ユニセフハウスで開かれた児童ポルノ問題のシンポジウムでは、深刻化する現状が報告された(撮影:佐谷恭)

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サイバースペースでの児童ポルノ問題などを話し合うシンポジウム「守ろう子どもの権利 STOP! 子どもポルノ」(日本ユニセフ協会主催)が26日、東京都港区のユニセフハウスで開かれ、警察やインターネット関連企業担当者から児童ポルノの現状や今後の課題が発表された。

 冒頭で、ストップ子ども買春の会(ECPAT)共同代表の宮本潤子さんが「児童ポルノは以前から存在したが、ネットの普及で明らかに激増しているという報告がある」と現状を説明。「日本は、児童ポルノ発信や東南アジアでの児童買春で非難されている一方、インターネット関連業界が“由々しき事態”に対応を始めていることが世界から評価されているのも事実」と今後の展開に期待を示した。

 法規制や取り締まりについては、警察庁生活安全局少年課の伊藤正明課長補佐が「法改正などで規制が強まったことで検挙件数は上がっている」としながらも、絶え間なく現れては消える“有害サイト”をすべて見つけるのは不可能だと述べた。また、「児童ポルノを提供目的なしで所持することや、アニメ・漫画など実在しない児童を描写したものは、児童を性の対象として助長する可能性があっても法律上対処できない」と、現状での規制の不備を指摘した。

 さらに、インターネット上の違法情報や有害情報の通報制度を運営しているインターネット協会の吉川誠司さんは「秒単位で児童ポルノ画像を連続投稿してくるなど、対応が追いつかない事例が増えている。また、携帯サイトはインターネットに比べて対策が進んでおらず、えげつないものが多い」と、山積する課題を述べた。

 関連団体の努力で、一定の成果も評価も上がってはいるものの、状況はますます深刻になっているのが現状だ。ヤフーの別所直哉法務部長は「安心して使えるものでなければ、メディアとしての価値が下がる」と危機感を表明し、来春から会員向けに、有害サイトのフィルタリングサービスを無料で提供すると発表した。【了】

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