【ファンキー通信】目が見えなくてもサッカーは楽しめる!?

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 目が見えなくてもスポーツは楽しめる。目前に控えたワールドカップで盛り上がっているサッカーも例外ではない。

 今回のワールドカップでは、視覚や聴覚に障害のある人専用のシートが各試合に10席ほど用意されている。しかも、このチケットは即完売したとか。なんでも、専属の実況解説者をつけて、試合状況を伝えるのだそうだ。

 しかし、障害のある人にとって、観戦するだけがサッカーの楽しみ方というわけではない。目が見えなくてもプレイすることができる「ブラインドサッカー」という競技をご存じだろうか? 1980年代にスペインで始まった競技で、日本での競技人口は200名ほど。現在ではパラリンピックの公式競技になっている。

 しかし、目が見えないと、選手同士がぶつかったりしてしまわないのだろうか。

 「ボールを持っている選手にプレスをかけにいくとき、必ず声をかけるというルールがあるんです。選手はその声を頼りに相手をかわしていきます。シュートを打つ時も「左斜め45度」と方向を示すことで、ゴールへ導くのです。監督やコーラーと呼ばれる役割の人が選手に声をかけることで、円滑に試合を進めていくのです」(日本視覚障害者サッカー協会 理事 田中重雄さん)

 なるほど、目が見えない代わりに声に頼って選手たちは動くのである。やはり、視力にハンディを持っている人は音からイメージを膨らませる能力に優れているそうで、衝突によるトラブルはほとんど見られないという。

 「もともとサッカーをやっていたという中途失明の人の場合、サッカーを知っていますのでイメージがわきやすい。しかし、先天的に視力に障害を持ってしまった人はサッカーがわかりません。体で覚えてもらうしかないんですね」(同)

 例えばインサイドキックと言っても、先天的に視力が無い人はなんのイメージもわかない。なので、足の形状、ボールを叩く位置などを触って教えるのだそうだ。

 こういった指導員の努力により、ブラインドサッカーの認知度は高まっている。サッカーはボールひとつあれば誰でも楽しめるスポーツ。それは目が見えても見えなくても、変わらないということだ。(加藤克和/verb)

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