30日に開かれた衆院国土交通委員会では、耐震強度偽装問題の発覚に絡み、国土交通省の初動対応に対する批判が出た。国交省側の説明をめぐり、馬淵澄夫議員(民主)が「情報隠ぺいなら見過ごせない」と発言するなど、場内は一時騒然とした。

 松本剛明議員(民主)は、偽装問題の経緯について質問。北側一雄国土交通相から、10月26日にイーホームズから改ざんについてメールがあり、28日に同省担当者がイーホームズ側から直接話を聞いた、などの説明があった。そして、北側国交相がこの問題の報告を受けたの11月15日である、との答弁を受け、「10月28日に国交省で調査開始してから大臣に上がるまでに2週間もかかっている。これはトップの危機管理の問題だ」と批判した。

 馬淵氏は、イーホームズの藤田東吾社長が「意図的な改ざん」を指摘しているのに、なぜ重大な事態と認識せず、ミスなどによる個別案件として処理したか、と迫った。国交省の山本繁太郎住宅局長は、個別案件の場合は、地方自治体とやり取りして解決することなどが建築基準法に定められている、と説明した。

 また、昨日の参考人質疑で、藤田社長が、10月26日に偽造案件が4件あることを同社担当者が電話で国交省側に伝えた、と答弁したことに関連して質問。26日の段階で「意図的な改ざん」が複数件あることを確認していたはずだ、と迫った。だが、小川富由住宅局建築指導課長は、電話について「われわれとしては心当たりがない」と答弁。馬淵氏は「国交省は初動の段階で真剣に取り組んでいなかった」と語気を強めた。
 
 さらに、問題が公表された11月17日の国交省の文書の中で「10月26日に偽造物件を4件把握」との記述があったが、それ以降の文書では、その部分が削除されている、と指摘した。これについて、小川課長は「今確認して、10月26日の4件とあるのは、正確には10月28日に4件という数字を把握、ということだった」と訂正した。

 この間のやり取りについて、馬淵氏が「これは初動の1日、2日の問題ではない。(国会で)真摯な議論をして何を諮らねばならないかを決めていかなければならないのに、責任監督者である国交省が情報隠ぺいしているのなら見過ごすことはできない」と発言。それに対し、北側国交相が「情報の隠ぺいなどと安易に使うべきではない。職員は必死に対応している。隠ぺいするようなことはない」と応じるなど、場内が騒然とする一幕もあった。【了】

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