シンクタンクのあり方について話し合った自民党立党50年記念シンポジウムで閉会のあいさつをする下村博文シンクタンク部会長(右端)。左端は安倍晋三官房長官(撮影:宗宮隆浩)

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12月下旬に党独自のシンクタンク創設を目指している自民党は21日、シンクタンクのあり方をテーマにした「立党50年記念シンポジウム」を東京都千代田区のホテルで開いた。米国ブルッキングス研究所招請スカラーの船橋洋一氏が基調講演を行ったほか、安倍晋三官房長官らが参加してパネル・ディスカッションが行われた。船橋氏は「国家戦略として何に優先順位をつけるか、厳しい査定が必要」と、国益を政策に反映させるシンクタンクの役割の重要性を語った。
 
 基調講演で船橋氏は、アジアで中国、韓国が台頭してきている現状を指摘し、「その中でアイデアの戦いになってきている。日本がどのようにアジア、世界の中で、政策の視点や構想を出していけるか。そういう観点から日本のシンクタンクを考えるべきだ」と述べた。その上で、シンクタンクの課題として、特定の組織のためではなく、真に国益を考えて政策に反映していくことの重要性などを挙げた。

 パネル・ディスカッションでは、船橋氏、安倍官房長官に加え、JR東海の葛西敬之会長が参加した。安倍氏は設立のきっかけについて「小選挙区になって1人しか当選できなくなり、自民党の政策・看板を背にして戦わなければならない。今までのような霞ヶ関に頼った政策作りでいいのか。別の選択肢を提供してもらえるシンクタンクにしたい」と語り、さらに「現在は自民、民主の対立構造だが、冷戦が終わり対立軸が複雑になっている。常に霞ヶ関が明確な答えを出せるとは限らない」とシンクタンクの必要性を説いた。

 新しいシンクタンクに対しては、葛西会長からは、人材確保の大切さや流動性の確保について、船橋氏からは「今までは衆知の吸い上げが足りなかった」などの注文が出た。

閉会にあたり、下村博文シンクタンク部会長は「新しいシンクタンクは、政策コミュニケーション部門を活用して国民とのパイプ役になりたい」と締めくくった。

 22日には、立党50年記念党大会が開かれる。【了】

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