総務省が『燃費課税』の導入に向け、有識者会議を立ち上げた。車の燃費性能に応じて課税し、燃費が良いほど税率が下がる仕組みを強調することから「エコカーの普及が狙い」とされるが、関係者は額面通りに受け取らない。

 燃費課税は来年10月、消費税が10%に引き上げられる際、車購入時に支払う自動車取得税が廃止されるのに伴う代替税の位置付けだが、まだ安倍政権は“10%引き上げ”を決めてはいない。にもかかわらず、消費税引き上げとセットの形で燃費課税が早々と浮上したことに「秘めた魂胆があるのではないか」と疑念が持ち上がっているのだ。
 「実をいうと、燃費課税には役所間で思惑のズレがある。自動車業界を所管する経済産業省は、燃費性能が一定基準を超えている車は対象から外したいのが本音ですが、これをのめば税収が減る総務省は首を縦に振らない。一方、燃費課税が定着すれば、自動車にはさまざまな税金が課せられているだけに、新たな税収確保に躍起の財務省には目触りになる。いくら大筋ができているとはいえ、総務省が立ち上げた有識者会議はその調整に苦慮するはずです」(永田町関係者)

 とはいえ、ユーザーにとって切実なのは、どのメーカーのどの車種が燃費課税で優遇(あるいは冷遇)されるかだ。各社の命運を握るだけに水面下の攻防戦は熾烈を極めそうだが、情報筋は「ハイブリット車に実績があり、政治力もあるトヨタが先行しているものの、まだ具体的には何も漏れてこない」と打ち明ける。

 総務省は昨年10月、自動車税と軽自動車税の見直しを盛り込んだ報告書を発表した。そのとき、軽自動車税が年7200円と極端に安いことをヤリ玉に挙げていたことから「燃費課税では軽自動車が狙い撃ちされるだろう」と、この情報筋は指摘する。
 奇しくもトヨタ自身、自らは軽を手掛けていないだけに妙に説得力がある。