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日本スケート連盟会長をつとめる自民党の橋本聖子参院議員(49)がフィギュアスケート男子の高橋大輔選手(28)に抱きつき、唇や首筋にキスをしている写真が『週刊文春』に掲載され、大きな話題を呼んだ。

今回の騒動は、キスをされた高橋選手本人が「セクハラやパワハラという感じはなかった」というメッセージを出したことで、沈静化した感がある。しかし、掲載された写真に対し、「気持ち悪いものをみた」といった否定的な反応が、ネットには数多くみられた。

「キス」があったのは、今年2月のソチ五輪打ち上げ会でのことだったという。しかし、仮に、これが普通の職場で、上司が部下にキスしたというケースだったとしたらどうだろう。そんな様子を見せつけられた同僚は、「職場で他人にキスを見せつけることそのものがパワハラ・セクハラだ」と、主張できないのだろうか。吉成安友弁護士に聞いた。

●態様や頻度によっては「セクハラ」と認められる

「基本的には、『第三者に対するセクハラ』は成立しないと思いますが、態様や頻度などによっては、第三者に対するセクハラとされる場合もありえるかもしれません。

たとえば、勤務時間中に繰り返し濃厚なキスシーンなどを見せつけたような場合には、第三者の就業環境が不快なものになるなどして、セクハラと認められる可能性もあるかもしれません」

吉成弁護士はこう指摘する。一般論としては、被害者が不快に思えば「セクハラ」だとされているが・・・。

「法的には、セクハラは、被害者の主観的な感情を基準に判断されるわけではなく、性的な要素のある言動を被害者が不快に思ったからといって、全てが『違法』と認定されるわけではありません。他人のキスについても、第三者が不快に思ったからといって、直ちに違法とはならないでしょう。

たとえば、名古屋高裁の平成8年10月30日の判決では、次のような判断が示されています。

(1)職場における上司の部下に対する性的言動は、全てが違法となるわけではない。

(2)そうした発言が社会的見地から不相当とされる程度のものである場合には、人格権を侵害するものとして違法となる」

すると、ポイントは「社会的見地から不相当」かどうかということだ。判断のポイントはどこにあるのだろうか?

「行為の態様、行為をした人の職務上の地位、年齢、被害者の年齢、婚姻歴の有無、両者のそれまでの関係、セクハラ言動があった場所、言動の反復・継続性、被害者の対応・・・こうしたさまざまな事情を総合的に考慮するとされています」

吉成弁護士はこのように指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
吉成 安友(よしなり・やすとも)弁護士
東京弁護士会会員。企業法務全般から、医療過誤、知財、離婚、相続、刑事弁護、消費者問題、交通事故、行政訴訟、労働問題等幅広く取り扱う。特に交渉、訴訟案件を得意とする。
事務所名:MYパートナーズ法律事務所
事務所URL:http://www.myp-lo.com/