au夏モデルスマホのWiMAX 2+は使い放題ではない、そこにユーザー満足度はあるのか?

写真拡大 (全4枚)

KDDI(au)が今夏投入したスマートフォンやタブレットの一部モデルに搭載されているキャリアアグリゲーション(CA)やWiMAX 2+はスマホでの快適な通信を期待しているユーザーに魅力的に映ることだろう。

CAは、通信の負荷が分散されることにより、通信混雑時にも通信速度が落ちにくいなどのメリットを受けられる。さらに、一昨年投入されていたWiMAX搭載モデルでは、WiMAXオプションとして月額500円(税別)が発生したのに対し、今回のWiMAX 2+対応モデルではオプション料金が無料となっている。そのため、「お得になった」と思い、WiMAX搭載スマホから機種変更を検討しているユーザーも居るだろう。

しかしながら、ちょっと待って欲しい。

●WiMAXのメリットである「使い放題」が無くなってしまった
2012年に投入されたWiMAX搭載スマホの売りには、「WiMAXでの通信では通信制限なし」をかかげていた。
それでは、今回もそうかというと違うようである。


WiMAX 2+での通信も通信速度制限の対象になると明記されている


auのホームページによると、4G LTEやWiMAX 2+、3Gでの合計通信量7Gバイトを超えた場合、月末まで通信制限を行うとしている。つまり、使い放題でもなんでもなく、7Gバイト制限の対象となっているのだ。

さらに、同ページには、WiMAX 2+での通信を行うことで“動画のストリーミングも、アプリや音楽のダウンロードも驚くほど快適に。”という文言も記載されている。驚くほど快適にストリーミングやダウンロードを行った結果、通信速度制限に引っかかるわけで、これには驚いてしまう。

●モバイルWi-Fiルーターは24ヶ月間速度制限なし
それでは、WiMAX 2+は全て通信速度制限ありかというとそういうわけではない。モバイルWi-Fiルーターを契約した場合、「最大で24ヶ月間は通信制限なし」としているキャンペーンを実施しているのだ。

したがって、購入後すぐに制限対象となるWiMAX 2+対応スマートフォン/タブレットとは事情が異なってくる。

●通信に特化した事業者だからこそ使い放題を維持して欲しい
さらに、auの今夏モデルではWiMAX 2+で通信していても、4G LTEで通信していても通信時に表示されるアンテナピクト上では「4G」と表示され、どちらの通信を行っているのかユーザー側では判断できない。さらに、どちらの通信を優先して利用したくても、切り替えはできない。

ユーザー側から見えない通信をわざわざ「WiMAX 2+オプション」として、さも無料になったことがお得になるように伝えることはユーザー視点に配慮に欠けており、ユーザーメリットが生まれにくいことに繋がる。

なぜなら、利用者のメリットを考慮すれば、すでに7Gバイト制限のLTEを搭載しているのだから、WiMAX 2+でなく、利用制限のないWiMAXのほうが利用者メリットは高いと思われるからだ。キャリアとしては、最新の高速通信のWiMAX 2+の普及を促進したいという思惑もある。UQ WiMAXが総務省に提出した計画書によると、今後数年間でWiMAX利用をしている周波数帯をWiMAX 2+に変更していくと読み取れる。つまり、既存のWiMAXがゆるやかに終了していくというのも、今回のスマートフォンにWiMAX 2+が搭載された理由の一つになるだろう。


計画によると、来年夏にはWiMAXで利用されている周波数帯が3分の1となることがわかる


通信負荷(トラフィック)を分散することによって快適な通信を提供するというのは当然理解できる。しかし、そもそも月間6,000円弱という高いデータ通信料を支払っているユーザーに対して、快適な通信環境を提供する努力は当然であり、ユーザーが手動切り替えもできない、使い放題でもないWiMAX 2+の搭載を、あたかもユーザーメリットとしてアピールすることに、疑問を感じ得ない。


速度制限ナシをWiMAX 2+に広げられるよう頑張って欲しい


WiMAX事業を行っており、スマホのWiMAX/WiMAX 2+部分の通信を担っているUQコミュニケーションズのホームページには、「No!LIMIT WiMAX」や「速度制限ナシは、WiMAXだけ」という文言が踊っている。通信に特化した事業者だからこそ、ぜひと「WiMAX 2+も速度制限なしにしました!」と言えるよう努力してほしいものである。


布施 繁樹