3月5日、ニュージーランド戦での岡崎慎司 (写真:二宮渉/フォート・キシモト)

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4月9日に日本代表候補の合宿が終了し、もう5月12日のワールドカップメンバー発表まで代表候補選手たちが集まる機会はありません。選手たちは悔いのないようにアピールしたいだろうと思います。

合宿でのザッケローニ監督の狙いは何だったのか。練習日程と内容を聞くと、目的がハッキリしてきます。

きっと最終日の大学生とのトレーニングマッチは、あまり重点を置いていなかったのではないでしょうか。個々の選手がどの程度のプレーができるのかは、Jリーグを観察していれば分かること。それに大学生相手だからしっかりしたプレーができて当たり前です。

僕は2日目のトレーニングこそ、ザッケローニ監督の目的だったではないかと思います。2日目のメニューは縦を短くしたピッチに選手を配置し、ゲームを行っています。

その狭いスペースの中で、どんなポジショニングができるのか。どんな判断力を持っているのか。きちんと前を向けるのかどうか。どこにパスを出すのか。そういう選手の力量を見ていたのでしょう。

ヨーロッパでプレーしている選手は、常に激しいプレスの中でプレーしています。相手が厳しくプレッシャーをかけてくる中で何ができるのかということを試しています。

例えば岡崎慎司選手はプレスを受けながら、どうやってボールをもらうかというプレーに磨きをかけています。裏に飛び出し、それがダメだったら鋭く戻りながらボールを引き出す。しかもその動きを試合が始まってから終わるまでずっと繰り返す。そうでないと相手DFを振り切れないのです。

はたしてそんな位置取り、判断、動きをできるのだろうか。ザッケローニ監督は候補選手を手元に置いて、チェックしたのでしょう。

今回の合宿からワールドカップメンバーに選ばれるのは数人だと思います。その意味ではとても厳しい選考会でした。今回代表候補に選ばれ、青いトレーニングウェアに袖を通し厳しさを経験したことで、選手の意識は格段に変わったはずです。合宿で問われたことをリーグでアピールしたいでしょう。

先週末の代表候補選手のプレーは、たとえば川又堅碁や豊田陽平がともにゴールを挙げたように一層の迫力を増しています。呼ばれなかった選手も含めて、5月12日に向けてのアピール合戦が白熱した今こそJリーグは本当に面白いのです。