浦和の横断幕問題や、Jリーグに八百長調査が入ったという話題の裏で、極めて重要なニュースが流れてきた。日本サッカー協会が2016年の次回役員改選から、会長や理事を決めるために立候補者を募って選挙制を導入することにした、というものだ。
 
 協会の人事はこれまで、いわゆる“密室”の中で行われてきた。独裁体制を築いた川淵三郎元会長の時代はもちろん、彼が会長職を退いた後もその影響力は絶大で、人事に関しても事実上、一部の関係者の意向で候補が決まっていた。実力や公約などは関係なく、出世コースに乗った人間が、密室の中で当然のように決められた椅子に座る、というのがこれまでだった。

 僕はこれまで散々その公平性、民主性のなさを指摘してきたけど、そのあり方を問題視したFIFAからの要請で、選挙制が導入されることになったという。
 
 サッカー界にはプーチンがいる、なんてよく冗談を言ったものだけど、これまで幾度となく問題提起されながらも、なかなかメスが入ることのなかった、自浄作用のなかったサッカー界の内部に、ついに手が伸びたわけだ。FIFAからの要請を受けて、というのが情けない限りだけど、独裁体制からの脱却、その影響力の低下も見え隠れするね。
 
 なんだか知らず知らず、本当に静かに報じられているけど、これはサッカー界にとって極めて重大なニュースだよ。読者の皆にも広く知ってもらいたい話題だ。

 とはいえ、これですべてがうまくいくとも限らない。選挙制になったからといって、立候補する人間が密室の中で決まっては意味がないね。自民党の総裁選になってはダメということ。オープンな中で、それぞれ確固たる公約を持つ人たちが立ち上がり、オープンな選挙が行われなくてはいけない。
 
 競争があるから、人間は進歩する。それがサッカー、スポーツの本来の姿だよね。そのスタートラインに立ち得る今回の選挙制導入に賛成したい。