「ダルビッシュは真のエースと言えるのか?」という記事が地元メディアに載り、ひとしきり論争になっているようだ。ダル自身の勝敗は12勝5敗だが、彼が登板した試合の勝敗は14勝11敗(数字はいずれも昨日の結果含まず)であり、3つしか勝ち越していないというのだ。これ、意味のある数字なのか?

アリーグで26回以上先発している27選手について調べてみた。他の指標もつける。
その投手が登板した試合のチーム勝利数順。

Dar-WL

当たり前の話だが、1敗しかしていないシャーザーが1位。岩隈が6位タイ、ダルが16位タイ、黒田が18位タイ。これで何かがわかるとは思えない。
確かに12勝6敗のダルは、7勝9敗のライアン・デンプスターよりもチームの勝ち星は低い。だからといってダルがデンプスターよりも劣るとは言えないだろう。

先発投手が勝敗つかずで終わるケースは
1. 同点のままで降板する
2. 勝利投手の権利を持って降板し、同点においつかれたり、逆転される
3. 敗戦投手になるはずが、味方が同点、または逆転する

1と2のケースは、先発投手としては責任を果たしたと言えるのではないか。3だけがチームメイトに「ありがとう」というべき状況だろう。

ちなみに先発投手が降板してからの勝敗(T-P)と、責任投手率も出してみた。確かにダルビッシュのT-Pは、2勝6敗と極端に低いのだが、これは基本的に彼の責任ではない。
シアトルの大エース、フェリックス・ヘルナンデスはこの数字が1勝7敗だが、だからと言って「キングは本当のエースか?」という議論は起こらないだろう。

ダルに限ってそういう議論が起こるのは、昨日の試合のように、相手をえげつないくらいに圧倒する投球を見せておきながら、結局一発に泣いてしまう、残念な試合が多いからだろう。

ダルはこの顔ぶれの中ではERAは1位(規定投球回数以上では2位)、WARは2位、QS%で6位。立派なエースだと思う。むしろ最近は援護点が少なくて、損をしている。

ダルの課題ははっきりしているのだ。一発を食らいすぎる。被本塁打は昨年よりも8本も多い22本。
打てる球が少なくなればなるほど、打者は球種を絞り、山を張ってくる。その結果でもあろう。
ピアジンスキ、ソトの協力も得て、配球を変えるなり工夫をしていくしかないだろう。勝負所で熱くなり過ぎないようにすることも必要かもしれない。

マウンドさばきと言い、投球の爽快さと言い、ダルは今の時点で赫々たるエースだと思う。もう少し慎重になれば、誰にも文句を言わせない大エースになるだろう。