どうしてこんなことになってしまうのかというと、麺の製造方法に秘密があった。

店の方に聞くと、牧のうどんでは麺を打った後、そのままゆでて器に入れ、具材をトッピング。

スープをつぎ、提供するという。

一般的に、うどんはゆでた後、冷水で締めてザルに上げ、再加熱するものだが、牧のうどんでは麺のうまさを出すために冷水工程をカット。

そのため、麺がふやけやすく、時間とともに膨張していくのだそうだ。

「食べても減らず、むしろ増殖する」のは、独自の麺の作り方にあったのだ。

だから、通は「硬めん」を選ぶという。

じゃ、「軟めん」だとどうなるのか。

考えただけでもおなかがいっぱいになりそうだが、福岡らしく「軟めん」も人気が高いそうだ。

また、「替え玉」もあるというから大食漢には心強いだろう。

うれしいのは細麺も選べること。

おじやと同じく、裏メニューとしてちゃんと存在しているが、注文してから麺を打ってくれるので少し時間がかかる。

他に、天ぷらなどは「別盛りで」と頼めば、うどんに乗せず小皿に乗せて出してくれる細かいサービスも。

味もさることながら、このようにお客の注文に細かく対応してくれる気配りも喜ばれているのだろう。

また、ふつうの店だったらアイドルタイムと思われる午後3時をとっくに過ぎても、賑(にぎ)わいをみせている点も印象に残った。

そう。

牧のうどんは、食べても食べても減らない麺同様、ランチタイムを過ぎても客数が減ることのない人気店だったのだ。

●Information牧のうどん※取材した店は「牧のうどん 片江店」福岡県福岡市城南区片江4-1-20