日本時間18日、WBC準決勝戦=日本代表−プエルトリコ代表の一戦は、1-3でプエルトリコが勝利。日本は8回のチャンスに、2塁ランナー・井端弘和と1塁ランナー・内川聖一がダブルスチール(重盗)に失敗した他、8三振と大振りが目立つ“らしくない”野球で敗戦を喫した。

試合後、ファンの間で議論を呼んでいるのは、8回の重盗失敗の場面だろう。一体何があったのか――。同夜、テレビ朝日「報道ステーション」では、野球解説者・工藤公康氏が下記の通りに見解を述べた。

「8回のワンアウト・ランナー1、2塁。バッターは阿部選手っていう場面なんですが、チームの作戦はダブルスチールだったんです。走ってもいいというサインもあるんですが、どちらかというと選手に判断を委ねたプレッシャーのかかるサインっていうもんだったんですが、この場面、1塁ランナーには"ある鉄則"というものがあります。

まずは2塁ランナーがスタートをきったことを確認。さらに、3塁へ走り続けていることを確認しなければいけない。この時の内川選手は一度スタートを切ると、そのまま下を向いて全力疾走をしてしまった。

なぜ、こうなってしまったのか。内川選手の心理を考えなくてはいけないんですが、2点差なんですね。1塁ランナーの内川選手が大事な同点のランナーでもあるわけなんです。2塁に進めば一打同点。しかし、ダブルスチールはアウトのリスクも非常に高い。そのため、絶対にアウトになってはいけない。その一心になっていた筈なんです。

少しでもはやく塁に到達するために、確認することより、頭を下げて全力疾走に徹してしまいました。日本は高いリスクの作戦をこなしていくことで勝ち上がっていくことができたわけです。複雑な作戦をこなせるだけの選手の高いレベルと技術があったからこそ。チャンスは潰えてしまいましたが、胸を張って帰ってきたほしい」