■日本初となるチェルシーのサッカースクールが開校

3月2日、八王子市で日本初となるチェルシーFCのサッカースクール開校イベントが行なわれた。同スクールは、チェルシーが2011年からスタートしているアジアにおける事業の一環で、アジアのスクールとしてはマレーシア、タイ、香港に続き4校目。小学6年生までを対象とした開校イベントでは、100名の募集予定を「開校イベントであってもクオリティ重視」という本部からの要請で約60名の参加者に絞った形で行なわれた。

その点について、開校イベントに合わせて来日した国際開発役員のデイビット・モンク氏に聞くと、「将来的にチェルシーのトップで活躍する選手が出てくれば、それはもちろん喜ばしいこと」と前置きした上で、「子どもたちにサッカーを楽しんでもらう環境を整備することがまず重要であり、サッカーを好きになってもらうことがチェルシーにとって最大のブランディングになる」と返ってきた。

■話題となったカンテラ選手の活動停止処分

クラブへの忠誠心を持たせるために子どもを囲い込むことも一つの手段ではあるが、チェルシースクールの開校イベントからは「スクールを通してサッカーの楽しさを知れば、最終的にはそのクラブのファンとして必ず戻って来る」という真理と同時にチェルシーというクラブの器の大きさが見えた。

ここ数年、日本でスクール展開する海外クラブは増え続けており、そうなると周囲の期待は「将来的にトップチームやアカデミーでプレーする日本人選手の発掘と育成」に集まりがち。特に子どもをスクールに送り出す保護者からすれば、バルサキャンプから本家カンテラに入団した久保健英君の事例もあるため、淡い期待を抱いてしまうもの。また最近では、千葉県のサッカースクールに通う小学5年生の日本人少年がレアル・マドリードのカンテラからオファーを受けたというニュースも出ている。

しかし、FIFAが定める移籍ルールにおいては、「18歳以上の選手に限り国際移籍が可能」、つまりは18歳未満の選手の国際移籍は禁止されている。2月下旬にスペインで大きな話題となったのが、FCバルセロナのカンテラに所属する外国人6選手の活動停止処分だが、これはFIFAがカタルーニャ州サッカー協会を通じて通達を出したもので、FIFAが定める移籍ルールにおけるに抵触する移籍ケースという判断だ。

■該当6選手は公式戦に出場できない

最初に通達対象となった選手が、韓国では小学生年代から「神童」として高い評価を受け14歳でバルサと契約を結んだカデテA(U−16)のペク・スンホ。その翌週になって、同じ韓国人としてカデテB(U−15)でプレーするチャン・ギョヒルとイ・スンウら5選手が追加処分を受けた。現在、該当6選手は公式戦でのプレーができないため、スタンド観戦を余儀なくされているが、バルサ側は他のクラブや国の事例を出しながら、バルサのカンテラの6選手のみが処分を受けたある種の“とばっちり”に対して、全面的に戦う姿勢を見せている。

バルサのカンテラ寮である『マシア』の外国人比率はすでに40%近くにも達しており、今回の活動停止処分の行く末はバルサの下部組織運営を大きく左右するものとなる。18歳未満の選手の国際移籍に関する例外項目は3つあり、?家族がサッカー以外の理由で新しいクラブのある国に移住した場合、?EU圏内の選手で、年齢が16歳から18歳までの場合、?選手が国境から50キロ圏内に住み、新たなクラブが同じく国境から50キロ以内にある場合。

ただし、スペインにおいてはビザを取得した18歳未満の選手のプレーは法的に認められており、両親(もしくは両親のいずれか)が一緒にスペインに滞在するか、現地で保護者代わりとなってもらえるチューターがいれば、学生ビザを取得することが可能。しかし、16歳以上のフベニール(ユース)の1部、2部リーグではスペイン滞在期間が5年以上なければ学生ビザではプレーできないため、12歳を超えてスペインに行った場合、16歳からフベニールの1部、2部でプレーするためにはプロ契約が必要となる。