フランスに一方的に攻められながら、カウンター一発で金星。そうかと思えば、ブラジルにはチャンスをけっこうつくりながら、いつのまにか大量失点の惨敗。世界の強豪と激突した欧州遠征の結果、見えてきたザックジャパンの“アキレス腱”とは?

「代えがいないという意味で一番気になるのはCF(センターフォワード)です。日本のワントップは事実上、(故障で遠征直前に離脱した)前田しかいません。2列目の選手が豊富だから(FWの選手を起用しない)ゼロトップでいいという意見もありますが、最初からCFを置かないというのはもったいない。とにかく、いろいろな選手を試してもらいたいのですが……」(サッカーライターの浅田真樹氏)

「2列目の選手でいうと、清武や乾は何をやろうとしているのかよくわかりませんでした。ボールがないときにスペースに走り込むような動きがないし、ボールを持ったからといって、つっかけていくわけでもなかった」(スポーツライターの杉山茂樹氏)

だが、今回の遠征で一番に露呈したのは、むしろその下のポジション、ボランチの問題なのだという。

サッカーライターの栗原正夫氏がこう指摘する。

「今まで日本の長所だと思われてきたボランチがウイークポイントになりつつあります。相手ボールを奪うことができず、イージーなミスも多くて、前に出て攻撃に参加することもできない。長谷部、遠藤は限界のような気がします。特にヴォルフスブルクで出場機会を失っている長谷部は、この冬の移籍期間のうちに移らないと手遅れになります」

「でも、Jリーグに戻ってきたらアウト。代表のキャプテンに必要なカリスマ性みたいなものがなくなってしまう。ただ、ブラジル戦で気になったのは、むしろ遠藤です。ブラジルの中盤はそんなにうまいわけではない。ある意味で体力とスピード勝負みたいなところがあり、そうなると遠藤のいい部分はほとんど出ない」(杉山氏)

長谷部、遠藤をはじめ、これまでザックジャパンはほぼ固定されたメンバーで戦ってきた。連係がスムーズになるのは確かだが、競争による刺激はない。現在のメンバーが、2年後のブラジルW杯でも最高のメンバーであるという保証もない。今後、チームを活性化させる新戦力はやっぱり必要だ。

「ボランチでいうと、現在の序列の3番手は細貝ということになります。でも、長谷部の代わりに細貝を入れれば解決するとは思えない。個人的には、(フランス戦後半に出場した)高橋(秀人)には国際舞台で化けそうな期待が持てます。視野が広く体も強い」(浅田氏)

成績不振でマガト監督が更迭されたヴォルフスブルクでは、コストナー暫定監督のもと、長谷部が公式戦2試合連続で先発フル出場を果たしている。主将が復調しつつあることは朗報と言えるが、ともにダブルボランチを組む遠藤とともに、もはや日本代表不動のレギュラーと考えるべきではないかもしれない。