さらに、「コンテクスト=文脈」についても触れています。

コンテクスト能力とは、聞き手側が、話し手の話す内容の文脈や背景を類推しながら理解する力のことを指します。

日本人はこのコンテクスト能力が最も高いとされていますよね。

その順番はアジア人>アラブ人>欧米人なのだそうです。

つまり、日本人は聞き手としての能力が高いということです。

それにより、話し手が「迷惑な話し方」をしていても、聞き手の能力によって、なんとなく会話が成立してしまう…。

日本人が論理的に話すことが苦手な背景には、一方で、聞き手としての能力が高いという側面もあるのだと思います。

出口 : よくわかります。

思いやりは日本人の特性ですから、相手がいかに「迷惑な話し方」をしていても、それを理解してあげようとする姿勢が常にありますよね。

どんなに話し手の話が抽象的で、他者意識に欠けた感覚的な話し方であっても、それほど不穏な空気にならない。

ただ、そうは言っても、結局、話し手として、「感覚的な話し方=感情語での話し方か」ら抜け出せないままでは、話術はいっこうに上達しないのです。

鈴木 : 出口先生が説く「論理」の基本はとてもわかりやすいですよね。

同書では、「話し方」に必要な三つの論理が記されています。

『イコールの関係』『対立関係』『因果関係』の三つです。

これらの言葉の規則を知れば、「迷惑な話し方」から論理的な話し方へと変わっていくことでしょう。

ぜひ読者の皆さんには、第一章「「3つの論理」を意識するだけで話し方はガラリと変わるー「伝わる話し方」に必要な論理の基本」をじっくりお読みいただき、最強の話し方を習得してほしいですね。

(次回、後編へ続く)