春に頻発する「わいせつ事件」の謎

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春は性欲の季節なのか……。そんなことを思ってしまうくらい、わいせつ事件の記事が新聞をにぎわしている。5月6日から8日の3日間にかぎって検索しただけでも、以下のようにわいせつ事件の記事がザクザクと引っかかる(検索の結果は、本記事の末尾で紹介する)。

わいせつ事件に遭った被害女性は、事件の性質上、泣き寝入りしたり被害を届けなかったりする場合も多い。こうして記事で報じられるのは、全国で起こっているわいせつ事件のほんの一部であることが予想される。

人には欲望があり、性欲もそのひとつだと言える。何らかの手段で、その欲望を満たすのは、人にとってたいせつな営みだとは思う。ただし、欲望を満たす際に、別の人が関わるときには、相手の欲望も満たされるのかということや、相手には迷惑なのではないかということに配慮する必要がある。

そういった配慮は、おそらく直接誰かに教わるようなことではないが、子どもからおとなに成長する段階で、誰もが、何となく、身につけていくことなのではないか。わいせつ事件の容疑者は、そういう配慮ができない人や、普段は配慮していてもスイッチが入ると欲望に身をまかせてしまうような人たちであるように思える。

たった数日の間に、全国の各地で、さまざまな職種の男性がわいせつ事件を起こし、逮捕されている現状を、読者の方々はどう感じるのであろうか。筆者の耳には、被害に遭った女性たちの悲痛な叫びが聞こえ、筆者の目には、被害に遭った現場の情景が思い浮かぶ。はっきりいって、「人に迷惑をかける以前に、その性欲を自分で何とかしろ」と容疑者たちには言いたい。

しかし、何とかできないから犯罪に手を染めるわけで、わいせつ事件を起こすような人たちには、正論で諭しているだけでは仕方がないような気もする。他人へ配慮や想像力を欠くスイッチが入るのは、どんな理由で、どのタイミングなのか。その点を調査・研究するなどして、ある程度は予防していかないと、わいせつ事件がなくなる日は来ないのではないか。予防などとは、あまり言いたくないが……。

以下、5月6日から8日の3日間に起きたわいせつ事件を、新しい順に紹介していく。これは、あくまでも報道されている分であって、現在進行形で起きているわいせつ事件の大部分は、報道されていないと思われる。こうして記事を列挙すると、各事件の深刻さを通りこして、滑稽さを感じたりもする。「おとななんだから、他人に迷惑をかける前に、自分でなんとかしろよ」と。


「千曲署巡査長、別のわいせつ容疑で近く再逮捕」。5月8日の信濃毎日新聞。容疑者は現職警官である。「長野市篠ノ井の駐車場で現職警官が女性にわいせつな行為をしてけがを負わせた事件で、長野南署が強制わいせつ致傷容疑で逮捕した千曲署生活安全課の巡査長、河原裕介容疑者(34)=長野市若穂牛島=について、別のわいせつの容疑で近く再逮捕する方針であることが7日、捜査関係者への取材で分かった」。この警官は、「北信地方で発生した複数の強制わいせつ致傷容疑事件などについて関与を供述している」と言う。

「高校教諭、3度目の逮捕 準強制わいせつの疑い」。5月8日の秋田魁新聞。容疑者は高校教師である。「県警は7日、女子高校生にみだらな行為をしたとして、準強制わいせつの疑いで県北部の30代高校教諭の男を再逮捕した」。「教諭は高校の運動部顧問。3月中旬に準強制わいせつの疑いで逮捕され、4月上旬に強制わいせつの疑いで再逮捕された。いずれも女子高校生が被害に遭ったとされる事案」である。

「強制わいせつ容疑で中学教師を逮捕 松山西署」。5月8日の愛媛新聞。こちらは中学教師の犯行だ。「松山市の市立中学校の教諭が教え子の女子生徒にわいせつ行為をし、母親と不適切な関係にあった問題で、松山西署は8日、乗用車内で体を触ったなどとして強制わいせつの疑いで同市勝岡町、中学教諭岡本直樹容疑者(52)を逮捕した」。同容疑者は同紙の取材に「男女の気持ちがあった訳ではない。悩んでいたので励ますつもりだった」などと語っている。

「17歳少女にわいせつな行為、75歳保護司に罰金50万円/川崎区検」。5月7日の神奈川新聞。
容疑者は保護司。「17歳の少女にわいせつな行為をしたとして、川崎区検は7日、児童買春・ポルノ禁止法違反の罪で、横浜市神奈川区の保護司の男性(75)を略式起訴」。「起訴状によると、保護司は昨年1月15日、同市都筑区のホテルで、無職少女に1万円を渡し、わいせつな行為をした」のだとか。ちなみに、「被害に遭った少女は、保護司が指導していた少年の交際相手の友人」であった。

「わいせつ誘拐容疑で再逮捕 静岡県警など共同捜査班」。5月7日の静岡新聞。容疑者は無職の男。「県東部で頻発していたわいせつ誘拐事件で、静岡、神奈川、長野、山梨、群馬の5県警共同捜査班は7日、わいせつ誘拐、監禁、強制わいせつの疑いで、伊豆市生まれ、住所不定、無職の男(56)=わいせつ誘拐、強制わいせつ罪などで起訴=を再逮捕した。同容疑での逮捕は3度目」。「逮捕容疑は今年2月初旬の朝、御殿場市内の路上を歩行中の10代の少女をだまして車に乗せて誘拐し、車内でわいせつ行為をして約1時間半の間、車内に監禁した疑い」だという

「強制わいせつ未遂容疑 高2男子を逮捕 神戸」。5月7日の神戸新聞。容疑者は高校男子。「有馬署などは7日、強制わいせつ未遂の疑いで、神戸市北区内の高校2年の男子生徒(17)を逮捕した。「逮捕容疑は3月17日午前0時半ごろ、同市北区のマンション敷地内で、女性会社員(25)に後ろから抱き付き、わいせつな行為をしようとした疑い」

「盗撮の疑いで福祉職員の男逮捕/横浜」。5月6日の神奈川新聞。容疑者は福祉施設職員である。「都筑署は5日、県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで、東京都大田区羽田2丁目、福祉施設職員の男(29)を現行犯逮捕」。男は、「同日午後9時40分ごろ、横浜市都筑区の市営地下鉄センター北駅構内の上りエスカレーターで、川崎市高津区に住む県立高校2年の女子生徒(16)のスカート内をカメラ機能付き携帯電話で撮影した」としている。

(谷川 茂)