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 1961年から1972年にかけて人類を月面に送り込む壮大な挑戦をしたアポロ計画。1969年のアポロ11号では、ニール・アームストロングらによって人類初の月面着陸に成功したことは誰もが知っていることだろう。先日、米ネット通販最大手アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者が、アポロ11号のエンジンを大西洋の海底で発見したというニュースも報道され話題が沸騰している中、アポロ計画について疑惑を投げかける映画が公開された。

アポロ18

人間を月へと送るアポロ計画は1961年に始まり、17号をもって終結した。しかし、これまで秘匿されてきた極秘の記録フィルムは、公式には存在しない幻のアポロ18号の存在を捉えていた。彼らはロケットで月面に着陸するも、そこで“衝撃的な事件“が起こり――。(作品情報へ

アメリカ版の動画が怪しさを助長する

 ムービーエンター独占でアメリカ版のティザー予告を入手している。もう映画が公開しているので、日本版予告は当然アップされている。だが、あえてこのアメリカ版を見て欲しい。




 日本語予告では、詳しく説明をされているので何となく「映画」という気持ちになってしまう。このアメリカ版ティザー動画は何だかよくわからない分「真実」を感じてしまう。

神秘の宇宙に対してのロマンと疑惑

 NASA(アメリカ航空宇宙局 )の大幅な予算削減および使用ロケットのサターンVシリーズの後続生産が打ち切られたことにより、1972年のアポロ17号を最後にアポロ計画は終了。スペース・シャトルの開発および宇宙ステーション構想に移行した。本作では、その理由を実は月に重大な“秘密”があったからではないかと語っている。架空の話をドキュメンタリー形式で描くモキュメンタリースタイルでつくられ疑惑の渦をさらに押し広げている。

 「アポロ11号の月面着陸も実は嘘だったのではないか?」など、宇宙開発に関しては様々な疑惑がついてまわるのはなぜだろう。小惑星探査機はやぶさの微粒子回収成功や国際宇宙ステーションの実験などに歓喜したり、金環日食やハレーすい星、流星群などの観測に躍起になったりと人は宇宙に対してロマンを持つ。宇宙の神秘に対して魅力を感じている。しかし、同時に解明できない謎の宇宙に対して人間の力が及ばない強大さを感じている。それで人が介入した時に何か疑惑をかけてしまうのではないのだろうか。それがこういった映画をつくる原動力となる。

終了後も何だかよくわからない、それも良さの内

 先に紹介した予告動画を見て「何だかよくわからない映画だな」と思った方もいるだろう。でもこの映画、観た後も何だかよくわからない。アポロ18号が世間には公表されずに秘密裏に打ち上げられる。月に到着したネイト・ウォーカーら乗組員が奇妙な生物と遭遇してしまうというのが主な展開である。だが、その奇妙な生物が実際にどんな形をしているのか、どんな特性があるのかなど、はっきりと見せることはなかった。またアメリカだけの陰謀かと思ったら、他にもある国が加担していたりするのだが、これらの国はどんな成果を出すためにこの秘密調査をしていたのかもわからない。謎が謎のままに終わる。というか、謎がさらに拡大している。だが、これがモキュメンタリーの楽しさなのかも知れない。映画を観ることで、お題となる謎をたくさん持ち帰る。一緒に観た友達とああでもない、こうでもないと空想論を戦わせる。良い酒の肴になることだろう。

 先日4月9日、科学界のインディ・ジョーンズこと長沼毅広島大学准教授と新おバカ女王として人気爆発中のモデル・鈴木奈々を招いたイベントを開催されたが、18日にも大きな催しがあるようだ。18号とかけて定めた“勝手にアポロの日”。4月18日に、長沼氏がTwitterを通じて宇宙講義をするようなので、気になる人は公式サイトにアクセスしてみよう。また、この日、渋谷TOEI、新宿武蔵野館、名古屋センチュリーシネマでは1,000円で鑑賞できるようだ。1800円はちょっとという方はこの日を狙って映画館に足を運ぼう。

ヒーロー妄想のカンタの所見評価

エイリアン度:

宇宙サブカル度:★★★★

酒の肴度:★★★

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