【戸塚啓コラム】タジキスタン戦の振り返りと、北朝鮮戦までに備えておくべきこと
北京は寒い。タジキスタンが思いのほか暖かかっただけに、余計に寒さが身にしみるのかもしれない。
11月11日にタジキスタンを4-0で退けた日本は、翌12日から2日間にわたって北京でトレーニングを積んだ。5日夜の日本出発から1週間以上が経過し、ドーハでのキャンプ、ドゥシャンベでのタジキスタン戦をこなしてきたチームは、今回の活動のハイライトともいえる北朝鮮戦を目前に控える。すでに3次予選突破が決まっただけに、選手たちは寒さも気にならない様子だった。
全員がボールを使った練習に汗を流した13日は、途中からゲーム形式で行なわれた。一見するとランダムに振り分けられたように見えるメンバーが、実は北朝鮮戦を想定したものであれば、ザックは先発を入れ替えてくるかもしれない。たとえば、最終ラインが右から内田、吉田、伊野波、槙野といったぐあいである。もう一方のチームが北朝鮮戦の先発であれば、同じく最終ラインは右から安田、栗原、今野、駒野となる。
すでに最終予選進出を決めた日本に対して、北朝鮮は3次予選での撤退が決まった。南アフリカW杯に出場した北朝鮮だったが、ウズベキスタンにホーム、アウェイともに敗れたのが致命傷となってしまった。
逆説的に考えれば、日本戦に臨む北朝鮮には足かせとなるものが何ひとつない。何よりホームゲームである。日本を倒してやろうというモチベーションに漲っているのは、想像に難くない。
「予選敗退が決まっても、北朝鮮はホームで変な試合はできないでしょう。テセも日本相手に気持ちを入れてくると思う」
13日の練習後、中村憲はこう話した。川崎Fでホットラインを形成したチョンテセとの再会も、懐かしさを運んでくるものにはならないはずだ。長谷部もタフなゲームを想定している。
「日本のホームゲームでは相手が守備的にやってきたけど、今回は敗退が決まっていて失うものないし、対日本ということでどんどん来ると思う。前回も多少は激しくやりましたけど、今回はもっともっと激しくやってくると思う」
ここまで2試合を消化したアウェイゲームでは、試合の入り方に問題を抱えている。9月のウズベキスタン戦も、先日のタジキスタン戦も、自分たちのリズムをつかむまでに少なからず時間を要した。ウズベキスタン戦ではペースをつかむまえに先制点を奪われ、タジキスタン戦ではあわや失点というシュートを浴びた。
アウェイならではの難しさはもちろんある。敵地タシケントでのウズベキスタン戦は、アジアでも有数と言っていい困難な環境だ。テヘランのアザディスタジアムのような超大観衆に包まれるわけではないが、訪れたチームをじわじわと追い詰める空気感に満ちている。
格下のタジキスタンにしても、ホームのドゥシャンベでは勇気を持って攻撃を仕掛けてきた。彼らの姿勢が観衆を刺激し、熱気を帯びたスタンドがチームをさらに後押しした。
「タジキスタン戦では、1点を取るまで自分たちのサッカーができなかった。そこは課題かなと思う」と吉田は話す。平壌での北朝鮮戦も、アウェイの大観衆が待ち受けていると想像する。長谷部は語る。
「アウェイの試合はアジアでも厳しい戦いになるし、最終予選はもっと厳しくなる。そういう意味では大事な経験の場になる気はします。タジキスタン戦の立ち上がりもそうだったし、アジアカップのカタール戦もそうだったし、アウェイのなかでの戦いは本当に厳しいものが続いている。そういうものを経験することで、少しずつ慣れていかなければいけないし、アウェイの雰囲気のなかでも、もう少し自分たちの時間を増やしていきたい」
日本の選手が人工芝のピッチに慣れていないことを含めても、北朝鮮は立ち上がりから積極的に攻めてくるだろう。年内最後となる15日のゲームは、チームの現在地をはっきりとさせるに違いない。
※毎週金曜日配信のメールマガジンでは、サッカー小説「コラソン」や、昔の取材ノートから回想する「昔の現場・むかしのだいひょう」なども連載しています。こちらもお楽しみにください。
11月11日にタジキスタンを4-0で退けた日本は、翌12日から2日間にわたって北京でトレーニングを積んだ。5日夜の日本出発から1週間以上が経過し、ドーハでのキャンプ、ドゥシャンベでのタジキスタン戦をこなしてきたチームは、今回の活動のハイライトともいえる北朝鮮戦を目前に控える。すでに3次予選突破が決まっただけに、選手たちは寒さも気にならない様子だった。
すでに最終予選進出を決めた日本に対して、北朝鮮は3次予選での撤退が決まった。南アフリカW杯に出場した北朝鮮だったが、ウズベキスタンにホーム、アウェイともに敗れたのが致命傷となってしまった。
逆説的に考えれば、日本戦に臨む北朝鮮には足かせとなるものが何ひとつない。何よりホームゲームである。日本を倒してやろうというモチベーションに漲っているのは、想像に難くない。
「予選敗退が決まっても、北朝鮮はホームで変な試合はできないでしょう。テセも日本相手に気持ちを入れてくると思う」
13日の練習後、中村憲はこう話した。川崎Fでホットラインを形成したチョンテセとの再会も、懐かしさを運んでくるものにはならないはずだ。長谷部もタフなゲームを想定している。
「日本のホームゲームでは相手が守備的にやってきたけど、今回は敗退が決まっていて失うものないし、対日本ということでどんどん来ると思う。前回も多少は激しくやりましたけど、今回はもっともっと激しくやってくると思う」
ここまで2試合を消化したアウェイゲームでは、試合の入り方に問題を抱えている。9月のウズベキスタン戦も、先日のタジキスタン戦も、自分たちのリズムをつかむまでに少なからず時間を要した。ウズベキスタン戦ではペースをつかむまえに先制点を奪われ、タジキスタン戦ではあわや失点というシュートを浴びた。
アウェイならではの難しさはもちろんある。敵地タシケントでのウズベキスタン戦は、アジアでも有数と言っていい困難な環境だ。テヘランのアザディスタジアムのような超大観衆に包まれるわけではないが、訪れたチームをじわじわと追い詰める空気感に満ちている。
格下のタジキスタンにしても、ホームのドゥシャンベでは勇気を持って攻撃を仕掛けてきた。彼らの姿勢が観衆を刺激し、熱気を帯びたスタンドがチームをさらに後押しした。
「タジキスタン戦では、1点を取るまで自分たちのサッカーができなかった。そこは課題かなと思う」と吉田は話す。平壌での北朝鮮戦も、アウェイの大観衆が待ち受けていると想像する。長谷部は語る。
「アウェイの試合はアジアでも厳しい戦いになるし、最終予選はもっと厳しくなる。そういう意味では大事な経験の場になる気はします。タジキスタン戦の立ち上がりもそうだったし、アジアカップのカタール戦もそうだったし、アウェイのなかでの戦いは本当に厳しいものが続いている。そういうものを経験することで、少しずつ慣れていかなければいけないし、アウェイの雰囲気のなかでも、もう少し自分たちの時間を増やしていきたい」
日本の選手が人工芝のピッチに慣れていないことを含めても、北朝鮮は立ち上がりから積極的に攻めてくるだろう。年内最後となる15日のゲームは、チームの現在地をはっきりとさせるに違いない。
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関連情報(BiZ PAGE+)
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している