ここから一週間のスポーツニュースは、日本代表の話題が多くあがるだろう。
11日、タジキスタン戦。15日には北朝鮮戦が待っている。特に北朝鮮との試合は、違う局面からの注目を浴びている。

とはいえ、日本代表のアジア最終予選進出はほぼ確実である。日本代表戦は、多くの国民を巻き込むイベントとなっているが、今回の試合にそこまでのドラマがあるかとなると微妙。むしろ、ここから面白くなるのはJリーグだ。

今年のJ2は、何年かに一度の奇跡が起きているとすら感じる展開になっている。


現在首位であるFC東京は妥当な順位だが、それ以下の並びには目を見張るものがある。2位にはサガン鳥栖、3位には徳島ヴォルティスという地方の小クラブが並んでいる。特に鳥栖は、2004年には消滅しそうになったクラブだ。シチュエーションは異なるが、映画『A SHOT AT GLORY』を彷彿させるドラマティックなことがJ2で起きている。

もちろん、J1も負けていない。注目はなんといっても残留争い。一時は栄華を誇り、未だにJ随一の集客力を持つ浦和レッズが残留争い真っ只中なのだ。残留を争う甲府との勝ち点差は2ポイント。一試合でひっくりかえされる。逆に、上にいる大宮とは6ポイントの差があり、二試合分のポイントが必要になる。残りが三試合ということを考えると、浦和と甲府の一騎打ち。浦和の最終節の相手が、現在首位の柏というのも面白い。

その優勝争いだが、今年は別の意味での楽しみもある。今年のJ1優勝チームは、開催国枠でクラブW杯に出場できる。ネイマールのいるサントスや、世界一のクラブであるバルセロナとタイトルをかけて対戦できる可能性があるのだ。さらなる付加価値は、今年は絶対に優勝しなければという執念を生む。近年稀に見る熱い戦いが見られそうな予感がする。

簡単に羅列しただけでも、残り数節となったJリーグの見所は盛りだくさん。足を運べないアウェイでの代表戦を観た方々は、近場のJリーグに足を運んでみてはいかがだろうか。


◇著者プロフィール:石井紘人 Hayato Ishii
サッカー批評、週刊サッカーダイジェストをはじめ、サッカー専門誌以外にも寄稿するジャーナリスト。中学サッカー小僧で連載を行い、Football Referee Journalを運営している。著作にDVD『レフェリング』。各情報はツイッター: @FBRJ_JP