日本人ファイターについてまわるケージでの練習、そして試合経験の不足。キャリア30戦の日沖だが、ケージでの試合はカナダのTKOと日本のHEAT、計4試合にとどまる。写真は6月にモントリオールのトリスタージムで練習したときのもの

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Hatsu Hioki10月29日(土・現地時間)に行われるUFC137で、ジョージ・ループを相手にUFCデビュー戦を行う日沖発。北米と練習環境の差が進む日本MMA界だが、首都圏在住のトップファイターのようにスパーリング中心の合同練習を行うわけでもなく、日沖は名古屋のALIVEで、創意工夫を以て己を磨き続けてきた。そんな日沖インタビュー、後編は自らの練習環境について語る。

――ほぼルーティン通りのトレーニングスケジュールだと思うのですが、何か特別なことはしているのですか。

「まず練習がハードになっています。体のケアの回数も増やし、昼間と夕方の練習前に映像を見て研究する時間も長くなっていますね。

色んな人と一緒に研究していますが、みな仕事の都合もあるから誰もいない場合は、一人でもやっています。あっ、あと社長(ALIVE鈴木陽一会長)が、スマフォでスパーの様子を撮ってくれて、自分の動きをチェックしたりもしています」

――どうしても北米トップは当然として、東京でプロ練習を行うトップファイターとは、やはり試合前のスケジュールの作り方なども違っているのですね。

「あぁ、夏に一緒に練習してくださった門脇(英基)さんも、そんなことを言っていました。東京の方は試合直前にならなくても、ある程度の時期になると指導をしなくなる人が多いって。

でも、僕はこれまでも、ずっと直前まで指導をしてきたので。普段の練習のなかに、試合用の練習を組み込んでいる形です」

――追い込みやフィジカル面、減量なども、自己管理の下で行っているのですか。

「自己管理が多いです。でも、ボクシング・ジムでも息上げをしてもらえますしね。一緒に練習してくれるメンバーもいますから。

減量は誰かに面倒を見てもらったことはないですね」

――スイッチや前蹴りなど試合のなかで足技も重要視している日沖選手ですが、練習スケジュールのなかにムエタイやキックなど蹴りを含んだ打撃格闘技のメニューがありませんでした。

「蹴りは、今はどこかで習うことはなく、ジムのMMAのトレーニングのなかで考えながら練習しています」

――正直なところ、だからこそ自分で考える頭を持つことができるという反面、スパーリング面や設備面では北米は当然として、首都圏のファイターよりも不利な状況にあると感じてしまいます。

「ハハハハ、そうですか? 自分で整えてきて、結構、充実してきましたよ。クオリティは高いという自信は持っています。MMA以外のトレーニングができる友人や知人も出てきましたし」

――名古屋にある他の総合のジムのプロファイターと練習することはあるのですか。

「あぁ、それはしないですね」

――なるほど。ところで、ジョージ・ループ対策はどれくらい進んでいるのでしょうか。

「う〜ん、どうすれば良いのか、逆に教えてほしいです(笑)。まずは自分のやるべきことを実行するのが大切なのですが、そのためにも対策は練っていかないといけないと思っています」

――気を付けるべき点というのは?

「練習相手で身長が180センチ以上ある選手がいないので、距離や間合いが違ってくるでしょうね。だからイメージを膨らませないといけないです」

――ケージを使った練習というのは?

「ケージの練習はできていないです。いくらぐらいでケージは購入できるんですかね? 将来は必要だと思うんですけど、今は壁を使うか、リングのロープにマットを挟んで壁風にしてやっています」

――色々と工夫していますね。

「それは後輩のアイデアなんですよ。『発さん、こうやれば壁になりますよ』って(笑)。いやぁ、大したものですよ」

――体調は問題ないようですが、久しぶりの米国での試合ということで、気を付けている点はありますか。

「米国は初めてです。カナダで3度戦っているのですが……。だから緊張しますね」

――名古屋からラスベガスに行ったことはないのですが、直行便ですか?

「いえ、どこか経由です。どこだったかな……、忘れちゃいました(笑)。後でチェックして、向こうに行ってからは万全を期します」
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日沖発インタビュー前編はコチラから