■ 招集メンバー 

見事にアジア大会で金メダルを獲得した関塚ジャパンであるが、今大会はJリーグの日程とかぶっているため、有力選手のほとんどが招集を見送られている。Jリーグでレギュラーポジションをつかんでいるのは、昇格や降格に関係のない大分のMF東、栃木のMF水沼の二人くらいで、それ以外は、大学生であったり、サブのメンバーばかりである。もちろん、ドルトムントのMF香川真司ら海外組も召集されていない。

そもそも、今大会の参加資格は、「U-23+オーバーエイジ3人まで」であり、日本のように「U-21のみ」というチームはほとんどないので、優勝の価値はさらに高まるのである。

今大会のチームは、「3軍」とも揶揄されていた。が、ただ、あまりサッカーに興味のない人にとっては、どういうメンバーが「1軍」なのか?なぜ「3軍」と呼ばれているのか?非常にわかりにくいので、勝手に有力メンバーを考えてみた。(アジア大会のギュレーションは23歳以下であるが、オリンピックと同じで21歳以下の選手に限定する。)



ゴールキーパー

 → 絶対的な存在はFC東京の権田修一。2009年からレギュラーに定着し、先日のA代表のアルゼンチン戦、韓国戦のメンバーにも選ばれている。もう一人、J1でレギュラーを獲得しているのが京都サンガのGK守田達弥。先日の山形戦ではスタメンを外れたが、それまでは10試合連続スタメン。京都のJ2降格は決定しており、GK守田もキャッチングに安定感を欠く試合が増えているが、191?の高さは魅力である。

他には、順天堂大学在学中でJ1の湘南ベルマーレの強化指定選手として12節のG大阪戦でプレーしたGK松本拓也、横浜FCで2009年に33試合に出場したGK大久保択生がいるが、アジア大会で守護神を務めた川崎FのGK安藤を含めて、GK権田の域に達している選手はおらず、アクシデントがなければGK権田が正GKとなるのは確実といえる。



サイドバック

 → 今大会は、右サイドが高知大学のDF實藤友紀、左サイドが流通経済大学のDF比嘉祐介と大学生コンビがサイドを務めた。サブには、ジェフ千葉所属で左右両サイドをこなすDF鎌田翔雅、先日の湘南戦でJリーグデビューを飾ったDF當間建文も入っていたが、メンバー外となった選手で、Jリーグで経験を積んでいる選手は少なくない。

右サイドバックでは、粘り強い守備が魅力のFC東京のDF椋原健太、高校3年生ながら浦和レッズの右サイドバックを任されることが増えているDF岡本拓也がいる。同じく浦和レッズ所属で、右サイドハーフでもプレーするDF高橋峻希も右サイドバックでポジションをつかむ可能性があるだろう。

左サイドバックは、J1で4位のセレッソ大阪でレギュラーポジションをつかんだDF丸橋祐介が筆頭候補。左利きで、プレイスキッカーも任されており、キックの精度が非常に高く、ビルドアップでも貢献する。京都では左サイドハーフでもプレーするDF中村太亮は182?の大柄のサイドアタッカーで、守備に不安はあるが、突破力がある。今シーズンは24試合に出場している。また、小柄であるがパワフルな左足を持つ横浜FCのDF阿部巧も面白い存在で、レンタル先の横浜FCでレギュラーをつかんでいる。

左右両サイドをこなす選手としては、新潟のDF酒井高徳、甲府のDF吉田豊の名前が挙げられる。DF酒井は南アフリカワールドカップのバックアップメンバーでドイツ人と日本人のハーフで身体能力が高い選手である。DF吉田はJ1昇格を決めた甲府の右サイドバックのレギュラーで攻撃力のある選手である。



センターバック

 → もっとも人材を欠いているポジションである。今大会でレギュラーを務めた新潟のDF鈴木大輔と川崎FのDF薗田淳の二人がそのまま予選でもポジションを確保する可能性も十分にある。そんな中でレギュラー最右翼とみられているのが湘南のDF村松大輔。176?と高さに欠けるが、スピードに秀でており、A代表の岡田監督も日本代表に招集したことがある。2009年には湘南のJ1昇格に大きく貢献したが、空中戦に強くないことが嫌われる可能性もある。

他に、J1でレギュラー格となっているのはサンフレッチェ広島のDF横竹翔。MFミキッチが不在の時、右ストッパーで起用されることが多かった。ボランチで起用されることもあり、4バックのセンターとしてどうなのか?という不安はあるが、ユーティリティプレーヤーとして重宝される可能性がある。

また、J2の東京VでプレーしているDF高橋祥平も可能性がある選手で、ここ13試合連続でスタメンを飾っていて、ベテランのDF土屋から多くのものを吸収している。ユーティリティでキックの精度に定評のあるC大阪のDF扇原貴宏も候補に入ってくる可能性は十分。鹿島アントラーズのDF中田浩二タイプの長身レフティで、怪我のため欠場したが、U-19日本代表ではDFラインの中心となるはずだった。



ボランチ

 → ボランチで頭一つ抜けているのが、FC東京のMF米本拓司。今シーズンは大怪我で出遅れたが、昨シーズンのナビスコカップ制覇に大貢献したFC東京の軸で、高い守備力に定評がある。2008年のU-19アジアユースでボランチを組んだジュビロ磐田のMF山本康介と大宮アルディージャのMF青木康裕も試合経験を積んでおり、ボランチの候補の1人である。

今大会で評価を高めたC大阪のMF山口蛍、流通経済大のMF山村和也も有力候補であるが、MF山村は184?とサイズがあるのでセンターバックで起用される可能性もある。また、今大会で控えに回ったC大阪のMF黒木聖仁もミドルパスとシュート力に定評があってボランチのレギュラー候補といえる。

2.5列目的な選手としては2009年に岡田ジャパンデビューを果たした浦和レッズのMF山田直樹、柏レイソルのJ1昇格に貢献したMF茨田陽生というタレントがいる。MF山田は怪我の影響で3試合の出場にとどまっているが、MF茨田は24試合に出場している。司令塔タイプでは鹿島アントラーズ入りが決まている青森山田高校のMf柴崎岳という選手もいる。



攻撃的MF

 → ロンドン五輪代表に招集されるかどうかは微妙であるが、ドルトムントで活躍するMF香川真司もこの世代であり、飛び級で北京五輪にも出場している。MF香川と同じくフル代表にも選ばれており、リーグ優勝の名古屋のサイドアタッカーとして活躍したFW金崎夢生もMF香川と同じく別格の存在で、A代表と同様に<4-2-3-1>を採用するとしたら、右サイドを任される可能性は高い。縦への突破に定評がある。

左サイドを得意とするのは、ガンバ大阪のMF宇佐美貴史。まだ高校3年生であるが、G大阪の中心になっていて、今シーズンは7ゴールを挙げている。中学時代から将来を嘱望されてきた選手であり、MF香川が招集されないとしたらチームのエースは彼しかいないだろう。

アタッカータイプは多彩なメンバーが揃っており、浦和レッズのMF原口元気、柏レイソルのMf大津祐樹、東京ヴェルディのMF河野裕貴、FC東京のMF大竹洋平、コンサドーレ札幌のMF古田寛幸も打開力のある選手である。また、潤滑油的なプレーヤーとしては、今大会のレギュラーの大分のMF東慶悟、栃木SCのMF水沼宏太のほかに、C大阪でレギュラーをつかんでいるMF清武弘嗣、元プロ野球選手の高木豊氏の二男である東京VのMF高木善朗がいる。MF高木は高校3年生であるが32試合に出場して5ゴールを挙げている。今大会で活躍したジュビロ磐田のMF山崎亮平を含めてポジション争いは熾烈であるが、1トップ+3シャドーと仮定すると、MF金崎、MF香川、MF宇佐美が有力か。


フォワード

 → フォワードも層の薄いポジションである。レギュラーの最右翼はアジア大会の得点王となったMF永井謙佑。圧倒的なスピードと決定力はプロ選手に混じっても見劣りしないどころか、トップクラスである。同じく期待の高い選手としては、鹿島アントラーズのFW大迫勇也が挙げられる。2年前の高校選手権で鹿児島城西高のエースストライカーとして爆発したFW大迫は、プロ2年目の今シーズン25試合で4ゴール。FWマルキーニョスとFW興梠の存在が大きく、レギュラーは獲れていないが、182?と高さもあってキープ力もあるので、CFとしてはうってつけの存在である。1トップシステムならば、FW永井か、FW大迫の1トップが有力である。

大型フォワードは少なくて、柏ユース出身でスペイン3部リーグでプレーする193?のFW指宿洋史も候補の一人。先日のU-19アジアユースの韓国戦でも2ゴールを挙げる活躍を見せた。また、2009年のU-17ワールドカップでFW宇佐美とともに攻撃の軸になったC大阪のFW杉本健勇も187?と大柄な選手。ユース時代はセンターバックでもプレーしたが、プロではフォワード一本で勝負することを誓っている。

逸材の多い高校3年生はセカンドストライカータイプが豊富であり、横浜Fマリノスで攻撃の軸になりつつあるFW小野裕二、京都サンガのFW宮吉拓実、ヴィッセル神戸のFW小川慶治朗も期待の高い選手で、FW小野はJ1で3ゴール、FW宮吉はJ1で2ゴールを決めている。1つ上の年代では、FC東京のFW重松健太郎、C大阪のFW永井龍、東京VのF高木俊幸が期待の高い選手であり、FW高木俊は必殺のブレ球シュートを武器に高卒1年目で6ゴールを挙げている。また、アーセナルへの入団が内定しているというという噂のFW宮市亮は圧倒的なスプリント能力でサイドを駆け上がるクリスチャーノ・タイプの選手で未完の大器。3年前の高校サッカー選手権で得点王になった清水エスパルスのFW大前元紀も期待したい選手である。

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