日本時間19日深夜に行われたサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会グループリーグのオーストラリア―ガーナ戦で、オーストラリアのMFキューウェルが自陣ゴール前でハンドの反則をとられて一発退場となった。中国のスポーツメディアは、満身創痍で出場したにもかかわらずわずか25分で退場させられた彼を「悲劇のヒーロー」として大きく報じている。

 騰訊網スポーツチャンネルでは、オーストラリアの人気選手であるキューウェルが前回のドイツ大会から今大会までに股関節や足首などを痛めた影響で16回手術台に上ったことを紹介、それは全て祖国のため、ワールドカップのためだったとした。今大会直前にも股関節を痛めたが何とか大会には間に合い、メンバーに名を連ねることができた。しかし、初戦のドイツ戦は出番がなく、ベンチで4失点の惨敗を見ることとなった。そして迎えたガーナ戦、敗れれば決勝トーナメント進出が絶望的になる試合で、先発メンバーとして出場した。

 試合が始まると、攻撃時は最前線で、守備時は最終ラインで動きまわり、満身創痍とは思えない働きを見せた。しかし、前半25分、守備が乱れたところに相手選手がシュートを放ち、それが身を挺して防ごうとした彼の右腕に当たった。その瞬間、ホイッスルが鳴り響き、主審からレッドカードが提示された。

 同サイトの記事では、キューウェルは2002年に「自己免疫性肝炎を患っており、適切な治療が行われなければ長くてあと10年の命」と診断されたとし、我が身を削りながらもサッカーに打ち込む彼をファンは「とげの鳥」に例えると紹介した。オーストラリアの作家、Colleen McCulloughの小説の題材にもなっている「とげの鳥」は、生まれた時から「とげの木」を搜し続け、木を見つけるとそのとげによって自らの命を絶つという伝説上の鳥で、絶命する際にこの世で最も美しい声で鳴くといわれている。

 2連敗で決勝トーナメント進出が厳しくなったオーストラリア。このままでは、彼にとっておそらく最後になると思われるワールドカップの舞台は、わずか25分で幕を下ろしてしまうことになる。「非常に残念だが、これがサッカー。ピッチ上で起こった一切の出来事は受け入れなければならない」と涙ながらに話したキューウェルのためにも、多くのファンが最終戦での奇跡を待っている。(編集担当:柳川俊之)



■最新記事
【仏国ブログ】0−1でオランダに惜敗、「日本は予想をくつがえし健闘した」
オランダ戦、「日本の戦いぶりはクリーンで、内容的には勝ってた」−中国
日本の堅守でオランダ辛勝「日本のサッカーは成長した」−韓国メディア
W杯:日本はデンマーク戦「引き分け」以上で決勝T進出に
中国メディア、中国では日本VSオランダ戦より蒼井そらのほうが注目集める?