今日、米国のチャールズ・リバー(CRL)が中国のウーシー・アプテック(WX)を16億ドルで買収すると発表しました。

「へえー、買わせて呉れるんだ?」

というのが僕の咄嗟のリアクション。

なぜならウーシーは中国のハイテクやヘルスケアなどのニュー・エコノミー関連の企業の中でもとりわけ毛並みが良いと看做されている優良企業だからです。

以前、コカコーラが中国で買収を試みたのにはストップがかかりましたが、あのディールが駄目でこのディールがOK(まだそうと決まった訳ではないかもしれないけど)というのはアタマが混乱します。

チャールズ・リバーは一般の投資家には余り馴染みはないかも知れないけれど、大学の研究室などでは確固とした評判のある、「信頼されるブランド」です。

ウーシーは新薬開発のR&Dの下請けをする会社です。急成長していたのですが一昨年にバイオ・リサーチのアプテックを買収した直後に金融危機が襲い、バイオテクノロジー各社がR&Dを絞り込んだ影響で業績はイマイチでした。

買収はキャッシュ+株式になるようですが比率などは発表されていません。

ウーシーの時価総額は11.4億ドルなので単純に計算すれば40%のプレミアムになりますが、株式交換部分があることと、チャールズ・リバーの時価総額自体が26億ドルしかないので、多分、チャールズ・リバーの株価は急落(アービトラージのため)すると思われます。

だから直感としてアップサイドは40%より少ない気がします。

さて、中国株ADRですが、このところ愚図愚図した展開でいいところがありませんでした。グーグル(GOOG)の一件以来、「中国はビジネスのやりにくいところ」という先入観みたいなのがアメリカの投資家に出来てしまって、必要以上に敬遠されてきた観があります。

今回のディールは知る人ぞ知る、毛並みの良い企業同士のM&Aなのでアメリカの投資家の中国株に対する冷え切った態度が変わるきっかけになるかもしれません。

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