ドジャースの黒田博樹投手が、今季初登板となった9日の対フロリダ・マーリンズ戦で、元チームメートで長年の友人でもあった木村拓也コーチへの想いを胸に好投した(4月9日付ロサンゼルス・タイムズ)。

 2日前、読売ジャイアンツの内野守備走塁コーチの木村拓也氏がくも膜下出血で亡くなったという悲報を受け取った黒田は「悲しみにくれても、彼が帰ってきてくれるわけじゃない。グラウンドで全力を尽くすことが、彼の冥福を祈ることになるのだと思う」と話していた。

 黒田と木村は1996年から2005年までカープでプレーしただけでなく、2004年のオリンピックでも日本代表として闘い、銅メダルを獲得している。

 金曜日のマーリンズ戦に先発登板した黒田は、木村コーチのことを思いながら投球したという。しかし、黒田はロッカーの前で唇を噛み締めながら、シーズンの初勝利を亡き友人に捧げるというような、俗受けすることをいって、彼の死を卑小化したくないとも述べた。

「拓也さんのために投げたとか、そのためにいいピッチングができたなどというのは、彼の死を軽んじることになる」

「ユニフォームを着て、毎日グラウンドに立てる幸せを、あらためて認識した。それは拓也さんから学んだことだ」

 黒田は8回を投げ、奪三振7、失点1。ツーシームの速球とスライダーが効果的に決まり、ゴロの山を築いた。リック・ハニーカット投手コーチは「速球のコントロールがよかった。ゴロが多いときは、調子がいいしるし」と述べた。

 6回まで両チームとも無得点で、マーリンズの先発クリス・ヴォルスタッドとともに好投を続けていたが、味方のエラーから黒田がまず1点を失った。しかし直後の7回表に、ドジャースが一気に4点を入れて逆転し、最終的に7対3で逃げ切った。