フランスがアンリの“神の手”アシストでW杯の切符を獲得した直後、フランス・フットボール誌が「ドメネク監督に支払われるW杯本戦出場のボーナスは86万2000ユーロ(約1億1400万円)」と報じて話題となったが、これについてフランスサッカー連盟(FFF)側からくわしい説明があった。ル・モンド紙が7日付で報じた。

 FFFのバランタン専務理事が厳密に示した数字によると、ドメネク監督のボーナスは「82万6222ユーロ(約1億800万円)」。フランス・フットボール誌は万の位の「2」と「6」を入れ違えて報じたことになるが、額に大きな開きはない。ただしこれは、2008年から2010年の任期を通してドメネク監督に支払われるボーナスの合計で、「W杯予選突破」に限ったものではないとFFFは強く主張している。

 その内訳は、2008-2009シーズンで19万8000ユーロ、2009-2010シーズンで32万8222ユーロ、2シーズンの肖像権料が30万ユーロとなっている。ちなみに選手については、代表の全試合に出場したとして、56万3111ユーロ(約7420万円)の報酬が支払われるという。

 さらにFFFは、本大会出場で得られる収入について、2006年W杯が500万ユーロ(現行レートで約6億5800万円)、ユーロ2008が800万ユーロ(約10億5000万円)であったこと、その多くはアマチュアの強化費用に充てられたことを明らかにした。また、FFFの年間売り上げはおよそ2億ユーロ(約263億円)で、そのうちフランス代表が占める予算は1%の190万ユーロに過ぎないことを明かし、収入のほとんどが代表に回っているとのイメージが誤りであることを強調した。

 なおドメネク監督は、フランス・フットボール誌の報道の直後、レキップ紙に「数字はまったくのデタラメ。実際の額ははるかに低い。カネがモチベーションで代表監督をやっているわけではない」と苛立ちをあらわにしていた。

 たしかに報道は、フランスがW杯本戦に出場を決めただけで監督が巨額のボーナスを得た、という点で誤りだった。FFFによれば、欧州強豪国の代表監督が得るボーナスとしては「平均的」だという。しかし2年間のトータルとはいえ、これは「ボーナス」。これ以外に監督がおよそ5万ユーロ(約660万円)の月給を受け取っていることを考えれば、何ともおいしい話だ。ドメネク監督が世論の非難を浴びながら代表監督の座を死守したのも理解できる。